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・
有岡「はい」
A「ありがと」
プシューというキャップを開ける音が二回。
炭酸が強くて「ッアーー」っていう声が二回。
意味もなく目を合わせ微笑む。
有岡「でね、さっきの話の続きなんだけど」
A「あ、うん・・・」
有岡「父親なのに、こんな事、言っちゃいけないのかもだけどね」
そんな前置きをつけて、コーラをドリンクホルダーに入れ、真面目な顔になった。
有岡「やっぱり、どっちかの命しか助けられないって言われたら、絶対Aを助けたい。
ってか、助ける」
A「んーー」
有岡「だってね、もし桃ちゃんの命を助けたとするじゃん。
で父子家庭で育てるとするじゃん。
俺、桃ちゃんの事、ちゃんと見れない。
この子の命と引き換えに、Aがいなくなったんだって思って、桃ちゃんを恨んじゃうと思う。
本気で、大切だと思える自信がない」
A「そっかなー」
有岡「じゃあ、逆を考えるよ。
何かのトラブルで、桃ちゃんが産まれてこなかったとする。
Aは、ショックで立ち直れないかもしれない。
生きていけないって言うかもしれない。
そうなった時は、その辛さを一緒に乗り越えていきたい」
大貴・・・・
有岡「次に機会があれば、チャレンジしたいし、
もし、機会が無くても、それはそれで二人だけでの楽しみを見つけたいし、
絶対、二人で寄り添って生きていきたい。
俺自身・・・Aがいなくなったら、生きていけないから。
去年、一回死んだからわかんだけど。
ホント、生きる希望とか無くなって、そんな状態で桃ちゃんと暮らしていくとか出来ないよ」
A「そっか・・・ありがと。
でも、一つだけ約束して欲しい。
もし、生存の可能性が桃ちゃんの方が高かったら、桃ちゃんを必ず助けてあげて欲しい」
口をへの字にして、困っている。
わかったとは言わないんだね。
ドリンクホルダーからコーラを取り、グビグビと飲み、フロントガラスの先を睨んでる。
ゲフッ・・・
・
A「ちょっと、ふざけてんの？」
有岡「俺の返事だ」
A「え？全然分かんないんだけど」
有岡「よし、そろそろ行くか！」
誤魔化されたね。
大貴の思いが、本気なんだと分かる帰り道だった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年2月21日 21時
