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A「昇進には興味がないので、大丈夫です」




二宮課長には、間に入って、迷惑かけてると思ってる。


でも、面倒臭そうなのが分かって、この話するの、ほんと嫌。









いっそ、辞められたら、どんなに楽かなって思う・・・

















大貴が、目の前の、いつもの席に座った。




有岡「もう出来たの?」





私の手のひらを引っ張って、ネイルの出来を見ている。





A「あと、このストーンをつけて、トップコート塗るの」





有岡「へー、やってみたい」





A「ふっ・・・いいよ。

  大貴、細かい事、器用にこなすもんね。

  ねえ、フェイスタオル持ってきて」





そんなお願いも、すぐに持ってきてくれて、私の手が乗せやすいように折りたたんだ。


そこに指を乗せると、大貴のちょっと冷たい指が私の指先に触れる。


ピンセットで爪にストーンを乗せると、顔が指先に近くなり、息づかいもたまに感じる。


私の好きな、大貴の指・・・


細くて、骨っぽくて、大好き。




集中してると無口になるから。

大貴の好きな洋楽だけが、心地よく流れている。





有岡「これ、塗るの?」




A「うん・・・」





気持ちよくなって、眠くなってきた。

目をつぶってたら、大貴の声がした。





有岡「あと、左手だけだから、ここに座って」



ソファーの左端を差し、ひじかけに手を乗せるように言われた。

塗ったばかりの右手は、クッションの上に置かれた。

オットマンに両足を乗せ、目をつぶると、お姫様にでもなった気分だ。












やっぱり寝てたみたいで。


気が付いたら、キッチンからいい匂いがしていた。


玉マタの帰りにスーパーに寄って、夕飯の「鶏肉のトマト煮込み」の材料を買ってきたから、それを作ってる様子。


ちなみに、夕飯のメニューは、クックパッドのトップページの「本日のおすすめ」で決めたから、アプリを開けば、作り方はわかったのかな。





有岡「あっ!A!

  ローリエがわからないんだけど」




泣きそうな顔で、お玉を持ったまま、カウンター越しで叫んでる。



爪が乾いてるか、そっと触ると、もうちゃんと乾いてて。

それも、キレイに塗られていた。




キッチンに入ると、切った野菜の皮たちが散乱してて、大変だったのが伺える。



冷凍庫から、ジップロックに入れたローリエを出し、ハサミで少し切れ目を入れてから、お鍋の中に入れた。




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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年2月21日 21時

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