8 Daiki ページ8
Daiki
有岡「まだ、早いんじゃねえの？」
A「そうみたいなんだけど、もう、こうなったら一回やってみようかなって。
気持ち悪いの、ただの風邪かもしれないから。
それだったら、病院行かないといけないし」
有岡「妊娠してても、病院はいかないといけないだろ」
A「そうなんだけど、こっちの病院じゃなくて、千葉のね、出来たら実家の近くの病院か、住むとこの近くで探して、受診したいんだよね」
有岡「そっか、そういう先の事も考えないとダメなのか」
A「うん。
それに、検診の費用がかなりかかるみたいなの。
保険が適用されなくて、5000〜8000円、一回にかかるらしいのね」
有岡「マジで？！」
A「最初は、四週間に一回でいいみたいだけど、産まれる間際には、毎週行くんだって」
有岡「ぷっ！」
思わず、笑ってしまった。
A「え？何で笑ってるのよ」
持ってた妊娠検査薬の箱を、俺に押し付けた。
仕方なく、それを受け取り、笑ってしまった理由を話した。
有岡「そんなにいっぱい、いつ調べたの」
A「いつって・・・ずっと、あれだよ、つけなくなってから。
大貴が調べとけって言ったんじゃなかったっけ？」
有岡「言ったけど。
そんなに色々調べてると思ってなかった。
相変わらず、真面目だよな」
A「大貴はいいよね、何にも変わらないんだもん」
有岡「いや、そうだけど・・・」
A「こっちは、仕事も住むとこも、体調も体形も変わっていくんだよ。
だから・・・・不安で・・・・心配で・・・どうしようもなくなったんだよ」
最後の方は、途切れ途切れに、また視線を落としていた。
女の子の横顔・・・細いあごのラインがキレイで。
こんな大切な話をしてるのに、その儚げな表情に、吸い込まれそうだった。
Aの背中に腕を回し、肩を抱き寄せた。
有岡「そうだったね、ごめん・・・」
A「世の中のお母さんたちは、どう切り抜けてるんだろ」
有岡「旦那さんと二人で、育んでいくんだと思うから。
あと一週間・・・一緒に住めるようになったら、その心配とか不安を、俺が排除していくよ」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年1月21日 21時
