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Daiki



A「そうだけど、転勤したばっかりで、つわりが辛くて休みますとか、言えない。

  それに、異動して半年ちょっとで長期休みに入るとか、上司に言いづらい。

  もっと計画的にすれば良かった・・・

  せめて、一年間は連続で働きたかった・・・」






また涙を流し始めた。


これは、悲しくて泣いてるんだ。


さっきとの違いは、眉間にシワが寄ったら気持ち悪いんだって知った。












さっきの妊婦の夫婦を見て思ったこと。


妊娠をしたら、あんなに歩きづらそうになるんだって知って。


あんなんで、外回りの仕事とか出来んのかって思ったんだ。





腰を支える旦那さんを見て、二人で寄り添っていかないといけないんだって思ったんだ。


怒って、プイッてベランダに出ちゃった自分を恥じたんだった。






もう、子育ては始まってるんだ。







有岡「ごめん・・・本当は、転勤じゃなくて、退職出来たら良かったんだ」





A「ううん、それは二人で話してそう決めたんだから、今、言うことじゃない」





有岡「でも・・・」





A「こんなんでも、一応おまけみたいな役職もついてるのに。

  浮かれすぎてた。

  ごめんね」






俺の肩におでこを当てて、体重をかけてきた。


また、Aばっかりが、仕事で大変な思いをするのかと思うと、無力な自分にイライラする。


今、このAを支えてあげる事しか出来なくて、Aを抱きしめた。






A「大貴・・・・」





仕事への思いを語った口調とは全然違う、弱々しい声で、俺の名前を呼んだ。


夫として、Aを支えてあげたい・・・・






有岡「大丈夫だよ。

  俺がついてる。

  Aが、責任感が強いのも知ってる。

  だから、すぐに辞めればいいって言っても、ダメなのも知ってるから。

  出来るだけ、やってみようよ。

  つわりが辛くて、休んで首になったら、首になっただし。

  俺が、一人で働けばいいし。

  俺が、Aと赤ちゃんをちゃんと守っていくからさ」






Aの腕が、ギュッと強く俺の背中に回った。


そして、突然、子供みたいに声を出して泣き出した。


いつも、一人で抱え込もうとするAが、初めて俺を頼りにしてくれたみたいで、すげー嬉しかった。





A「大貴と一緒に調べたかった」




そう言ってキッチンから「妊娠検査薬」を持ってきた。




 

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年1月21日 21時

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