心待ち、Baby (Daiki.A) (ページ29)

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Daiki

新幹線の指定席を買ってあるから、絶対乗りたくて。

大抵のサラリーマンは、今日が仕事納めだと思うから。

千鳥足のおじさんや、大きな声で騒いでる女子を横目に、急いで東京駅に向かった。

駅構内で、目についた物を買って、新幹線のホームにたどり着いた。

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在来線とは雰囲気の違うホームは、色んなドラマが見られる。

多分、今年の初めにここにいた俺も、悲劇のドラマの主人公だっただろう。

この世の終わりのような顔をしてたと思うから。

そして、肩をガッツリ落として帰ってきたんだもんな。

　

そんな俺が、今は左手の薬指に指輪をしてて。

明日には、大切な人と、このホームに降り立つわけで。

一年間、俺の事を見てる人がいたら、その変化に気が付くだろうな。

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乗車予定の新幹線の清掃が終わり、アナウンスが流れた。

今年の初めの俺は、この新幹線でいいのか不安で、何度も確認してたけど。

今は、もう全然大丈夫。

帰省する人、冬休みの旅行のような人、いつもよりお客さんはいっぱいいて。

今回は、窓側の席を確保できずに、通路側の席にコートとマフラーをとって腰かけた。

Aに連絡しとかないと・・・

有岡『21：36発で、仙台には23：07着です』

　『先、風呂入ってていいから』

　『寝ててもいいよ』

こんな事言えるようになった俺・・・

成長したと思う。

すぐに返信があった。

A『お疲れ様』

　『私も、そろそろ帰るね』

　『もしかしたら寝てるかも』

　『気を付けてね』

うさぎがチュッて投げキッスをしてるスタンプも送られてきた。

これをタップしたあと、ふふって笑ってるAを想像するだけでニヤケてくる。

車内と暖かさと、アルコールのせいで、眠くなってきた。

耳にイヤホンを入れ、しばし休憩することにする。

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イヤホン越しに、あらかじめセットしておいた時間にアラームが鳴る。

そのタイミングで起きると、そろそろ仙台駅に到着する。

こうやって起きるのも、もう最後なんだな。

電車を乗り換え、Aんちのアパートに着いた。

合鍵でドアを開けると、中から暖かい空気とAの匂いがふわっと出てくるのが、ホッとするし好き。

リビングの電気がついてるので、小さめな声で「ただいま」と告げ、靴を脱ぎ、コートとマフラーも脱いだ。

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