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26 Daiki 12/25 ページ26

Daiki



A「大貴、起きて。

  朝だよ」





優しく体をゆすられる。


まだ起きなくて大丈夫・・・って思ってたのに





A「ご、ごめん、大貴。

  ちょっと私・・・起きてね」





そう言って、慌てて寝室から出て行った。




あぁ・・・調子悪いのに起こしてもらっちゃって、ごめん。


頑張って起き上がり、仕度を始めた。






モコモコのパーカー姿で、洗濯物を干していた。


キッチンには、いつも通り、おにぎりが準備されていた。





A「あー、寒ーい」





有岡「ごめん、ご飯の臭いダメなのに、おにぎり作ってもらって。

  言い忘れたな、いらないって」





A「うん、いいの。

  仙台から出勤するの、今日が最後だから。

  やっぱり作りたかった」




ポフンッと俺の胸の中に入ってきて、モコモコがくすぐったい。





有岡「ありがと」




そうひと言だけ言い、体を離してAの顔を見た。

アヒルみたいな口をして、俺を見上げた。





A「遠いのに、ありがとね」





有岡「あぁ・・・」





軽くキスをした。

まだ化粧をしてなかったけど、なんとなく軽いキス。










A「あっ、これ外さないと」





Aの右手が、俺の左の耳に触れた。

華奢な指は、とっても冷たくて、ヒヤッて反応しちゃったくらい。





あっ、ピアスか・・・忘れてた。



少し背伸びをしてるのが、やっぱり可愛い。






玄関でコートを着て、マフラーをグルグルと首に巻いた。


靴をはき、振り返る。








有岡「じゃあ、行ってくる。

  仕事納めの28日は、最後の新幹線になっちゃうかも」






A「うん、分かってる。

  私も、お別れ会が軽くあるみたいだし、大丈夫だよ」






そしてまた、行ってきますのキスをする。

またしばらくお別れ・・・





有岡「行ってきます」





A「いってらっしゃい」






仙台での、なんとも言えない、寂しい行ってきますも、今日で最後。

だからって、嬉しい気持ちにはなれなくて。

やっぱり、切ない。





扉の隙間から顔を出し、手を振ってくれる。


階段を降りる俺の姿が見えなくなると、部屋に入るみたい。






まだ暗い道を、白い息を吐きながら駅に向かう。


もう夫婦だから単身赴任って言うのかな。


一年間の単身赴任・・・あともう少しの辛抱・・・





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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年1月21日 21時

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