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38 Daiki ページ38

Daiki



大貴「大丈夫?」




ダイキ「いて。だいじょうぶ!」




その子の両脇をつかみ、立ち上がらせた。





母「す、すみません!」









お母さんと目が合った。











母「あっ・・・」


















目が合ったのに、ちょっと恥ずかしくて、視線をそらしながら言った。





大貴「久しぶり!・・・・です・・・

  Aちゃん・・・」













A「えっと・・・お久しぶり・・・です」






大貴「Aちゃんの子?

  ダイキって言うの?」






A「あっ、・・・・・はい・・・」






Aって呼び捨てでは呼べなかった。


もう、俺の顔を見てくんねえし。


でも、Aちゃんは、手をギュッと握って、その手が小刻みに震えているのが分かった。


そして、険しい顔で眉間にシワを寄せていた。












俺の足元でキョトンとしている、小さな男の子ダイキくんと、視線を合わせる為に、しゃがんだ。





大貴「お母さんのいう事、ちゃんと聞かないと、怪我するよ」






ダイキ「ごめんなさい。

  でもね、せんせー・・・うんろうかいのれんしゅうしてたの」







大貴「ん?運動会?運動会があるのか。

  でも、病院の中で走ったりしちゃダメだぞ!」







A「す、すみません!

  ちゃんと・・・言って聞かせますんで」






大貴「今日は?どっちかが具合悪くて来たの?」






A「ダイキが・・・えっと息子が、小児ぜんそくで。

  定期的に、小児科で診ていただいてます」







その言葉を聞いた時、衝撃が走った。


すっかり忘れていたから。


小児ぜんそくは遺伝するって事。





大貴「あの・・・もしかして、お父さんが小児ぜんそくだったとかある?」














A「はい・・・確か・・・そう言ってたかと」




大貴「あ、じゃあ、この子って・・・」









Aは、手に力を入れたまま、頭だけをコクリとゆっくり降ろし、そのまま下を向いてしまった。











俺の子・・・か。












涙が出そうだった。



Aも、泣いてるんじゃないかと思うくらい目を赤くしている。






ダイキ「せんせー!

  きのうね、ダイキのね、おたんじょうびだったの!」







大貴「え?昨日?

  えっと9月9日?」







ダイキ「そお!」







 

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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年10月20日 20時

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