31 Daiki4〜6月 ページ31
Daiki
4月になり、本腰を入れて、専門科で働くようになった。
定食屋も、新しいバイトのおばさんが入り、俺の事も覚えてもらっていた。
それなのに、毎回、薬を飲むために「お水ください」って言わないといけなくて、かなり面倒。
そしてAを、思い出す。
やっぱり、トモさんはあれから一度も来てないようで、お腹の大きくなってきたAの事を支えてくれてるんなら、ちょっと安心だとさえ思えるようになってきた。
だって、俺は、もう捨てられたわけで。
会える希望は、なくなっていたから。
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最後に連絡を取った12/25から約半年。
6月の下旬・・・
Aも、妊娠30週、妊娠8ヶ月になった頃。
随分、胎動も感じられるはずだ。
大きなお腹を抱えて、どんな生活をしてるんだろう。
今日なんかは雨が降ってるし、仕事に行くのも大変だろう。
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今日は久しぶりのお休みで、どんよりとした、窓からの景色を見ながら、またAの事を考えていた。
腹減ったけど、雨で外に行くのは面倒臭い。
なんかないかなーって冷蔵庫をのぞくも何もなく、冷凍庫は、ずっと食べられないでいる、2017.12.24と日付が書いてあるカレーがあるだけだった。
最後の一つのカレーは、やっぱり食べられない。
賞味期限的にも、無理だろうけど、それでも取っておきたいから。
最後の一つのカップラーメンを開け、ズルズルと食べてみた。
あっ、そうだ・・・あれ、調べとかねえと。
ラーメンの容器を、シンクの中に入れ、医学書が並ぶ棚の前で、指を触れながら、必要な本を、本棚から出した。
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っと、その時だった・・・
その本の間から、ポトンと何かが落っこちた。
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なんだろうと拾い上げると、見覚えのあるキレイな字で
『有岡大貴先生へ』
と書かれていた。
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慌てて、裏を見ても、差出人は書かれていなかった。
重い医学書を置き、その白い封筒を開けた。
こんなにピッタリ封をする必要あんのか?ってくらいノリがついていた。
それに加え、手が震え、焦ったため、切り口がグチャグチャになっちゃったけど。
一秒でも早く、その中身を見たくて。
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『大ちゃんへ』
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絶対、大貴って呼んでくれなかった、Aからだとすぐにわかったし、「大ちゃん!」ってニコニコしながら呼んでくれた声を思い出した。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年10月20日 20時