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Daiki



仕事に行く時間になり、食べきれなかったご飯を、とりあえず冷蔵庫にしまった。


Aの麦茶で流し込み、リュックを背負おうと持ち上げたら、お弁当箱がカタンと鳴った。


まだ洗ってないお弁当箱・・・


シンクの中に入れ、水をはって帰ってきてから洗う事にした。



慌てて外に出た瞬間、冬の乾燥した空気を吸い込んだ。





コンッ・・・








あっ・・・まずい。







薬、何回か飲んでない。


ヤバい・・・




コンコンッ・・・




マスク・・・マスクもないな。









それでも仕事に遅れちゃいけないから、肺がヒューヒュー言い出したけど、あと少しで着くから我慢した。









あーー、ちくしょーー!!











色んな事が上手くいかず、イライラしてくる。






病院の入口でICカードをかざし、中に入ると暖かい空気が気管に入り、またコンッと咳が出た。


病院で咳をすると、必ず一回は睨まれる。


下を向きながら更衣室に入り、リュックから急いで吸入器を出した。


思いっきり吸い込み、気持ちと体を落ち着かせた。

















休みたい・・・

















目をつぶったら、Aの顔が浮かんできた。





『大ちゃん、頑張れ』





そんな声が聞こえてきそうだった。



俺も都合がいいな・・・なんて思ったけど、今の俺の気持ちには、それが一番効く薬だから。












ロッカーを開き、スクラブに着替えた。


Aがカッコいいねって言ってくれたその姿になって、ヒーローにでもなったような気持ちで、更衣室を後にした。

















ヒューヒュー



コンコンッ










マスクをしてるとはいえ、仕事中も収まる事はなかった。


ぜん息だと周りは知ってるけど「受診して、帰れ」と言われてしまったので、いつも薬をもらってる呼吸器内科を受診して、ネブライザーをしたら少し落ち着いてきたので、そのまま自宅に戻った。
















ぜん息の発作が辛いんじゃないのは分かってる。






今、一番辛い事・・・






考えれば考えるほど、沼にはまっていく。





おそろいのパジャマを引き出しからだし着替えた。





発作がひどい時は、横になって眠れないけど、今日は大丈夫そう。





いつ電話があってもいいように、今日はプライベートのスマホの着信音をONにして、仕事用のスマホはOFFにして枕元に置き、目を閉じた。





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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年10月20日 20時

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