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Daiki




大貴「やばっ、すげー嬉しい

  あ!お金払います!」





女将「あぁ、いいわよ。じゃあまたね

  トモくんの件は、わかったから」





そう言って、シャッターを閉め、脇の階段を上がっていった。














一人になって、またスマホをチェックした。


さっきと同じ状態で・・・


既読もないし、着信もない。




あと望みがあるのは、うちだけだった。


いつもみたいに、メモが残されてるかな。


引越先の住所とか、置いてあるかな。






子供が欲しいって言って、あんな誓約書を見た時から、こんな日が来るのを、心の隅みっこで予想はしていた。


それでも、こんなすぐとは思ってなかったから。


徐々に、ゆっくり説得していこうと思ってた。





だって、まだ妊娠したかなんてわからない時期だし。











マンションのエレベーターに乗り、鏡に映る自分の顔が、かなり醜くて。


今にも泣き出しそうな顔を、なんとか公共の場所と言う事で保っている。


最後の望みの、我が家の鍵を開け、ドアを開いた。










やっぱり玄関に、Aの靴なんてあるわけなくて。




下駄箱の上に、家の鍵を置こうと思ったら、Aの字が目に入った。





『買い物に行ったら、すごく素敵なの見つけたから。

 もしよかったら、飾ってね』





そのメモと一緒にあったものは、多分、お正月のお飾りで。

扉にかけたりするやつだと思う。





こんな風にして、家の中にメモがいっぱいあって、連絡先もあるかもしれないと思ったら、慌てて靴を脱いでリビングに行った。




ソファーに、背負っていたリュックを投げ、端から端まで見て回る。





ダイニングテーブル、ソファー前のローテーブル、勉強用の机・・・




何もなかった。









キッチン!



キッチンに入ったけど、見える所には何もなかった。




冷蔵庫のドアを開けると、いつもの所に、満タンの麦茶。


冷凍庫には、写真が送られてきていたカレーが、フリーザーバッグに小分けにされ、冷凍されていた。

ああ、ご飯もか・・・


その袋には、作った日の2017.12.24と書かれていた。


それ以上は、何もない・・・








寝室は?




まず目に入ったのは、赤いリボンがいっぱいついたモンちゃん。



そして、二つ並べてあった枕が、一つになっていて。

クローゼットを開けると、上の段にカバーが洗濯された状態で置かれていた。





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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年10月20日 20時

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