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私の誕生日翌日、代々木で模試だという涼介は、終わるのが16:10だと言っていた。
今日は、電車で来ると言うので、うちの最寄り駅で、待っていた。
就職を機に、引っ越す事にしているから、四年間利用してきたこの駅とも、もうすぐお別れになる。
自転車移動ばかりの涼介と、この駅を利用するのは、あと何回あるだろう。
私服に黒いリュックの涼介が、口をとがらせて改札から出てきた。
A「お疲れ様」
山田「疲れた!」
A「何、怒ってんの」
涼介の腕に絡まった。
下から見上げる甘えん坊な涼介も、可愛い。
A「出来なかったの?」
山田「んー、わかんねー」
A「はいはい、今日は何を作るのかな?」
スーパーの入口で、買い物カゴをつかむと、すぐに奪われた。
山田「ボロネーゼでいいよな」
A「あ、ミートソース?」
山田「違う、ボロネーゼ」
A「一緒でしょ?」
山田「トマトの量が違うの!
肉、多め!」
A「なるほどね」
お料理のトマトは大丈夫って言ってたけど、そうでもないのかね。
サラダ用の野菜とコーンスープの缶詰も買っていた。
私と付き合うようになって、スーパーでの買い物も慣れたようだ。
出来ないより、出来た方がいいから、よかったと思うけど。
スーパーを出てすぐの、地元のケーキ屋さんに寄った。
山田「あの、予約してた山田です」
A「えっ!」
こっちを見て、得意げに笑っている。
いつの間に、予約なんてしたんだろう。
「こちらでよろしいでしょうか」
そう見せられたケーキは、お金持ち用の特別仕様かと思われる、苺が全面に乗っているデコレーションケーキだった。
私のためと言うより、苺好きな自分の為なんじゃない?
「ありがとうございました」
ロウソクを付けられて、袋に入れられたケーキも、涼介が持った。
A「あ、あのお金は?」
小さな声でそう聞くと、
山田「もう払ってあるから」
A「え・・・あ、そうなの?」
涼介の事を、普通の高校生と一緒にしちゃいけないって、わかってるはずなのに。
それでもやっぱり、気になっちゃう。
山田「ごめんな、一日遅いけどさ」
A「うん・・・いいよ」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年9月13日 23時