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A「ちょ、ちょっと、いや冗談だからね、ね?山田くん」




山田「もういいじゃん、隠すの。

  俺も、そろそろ来なくなるし、Aだってもう辞めるんだからさ」





女子生徒「嘘でしょ?ホントなの?」





A「嘘に決まってるでしょ?ちょっと、嘘つきはこっち、こっちに来て!」





涼介の腕を引っ張り、ロビーを抜け、外に出た。

ふてくされ、口をとがらせている。




A「言っちゃダメって言ったよね」




山田「噂になっちゃうくらいなら、言っちゃえばいいんだって」




A「もう少しの我慢だから、ね?」




山田「わかったよ!」





私の手を振りほどき、全然わかってませんって顔で、中に入って行った。

私は、首にかかっているペンダントをとり、スカートのポケットにしまい中に入った。

すでに涼介の姿はロビーになく、きっと自習室に行ったんだろう。

女の子達は、すでに違う話題で盛り上がっていた。




今日は22時までバイトで、涼介は19時頃塾を出て行ったから、帰ったら電話しないとなって思いながら駅に向かっていた。




「A・・・」



急に呼び捨てで呼ばれ、ビックリした。

その聞きなれた声は、やっぱり涼介だった。




A「帰ったんじゃないの?」




山田「帰ろうと思ったけど、やっぱり待ってた」




A「え?ずっと?ここで?」




山田「大丈夫、あそこのファミレスで、飯食って勉強もしてたし」




A「そっか、よかった。風邪でも引くとやだなって思ったから」




そんな話をしながら、自然といつも落ち合う、ちょっと影になってる場所まで来た。




山田「今日は、ごめん。子供じみた事言って。

  やっぱ、社会人になったら、そんな事言えねえよなって思って。

  俺はやっぱ子供で、学生気分というか彼女を自慢したいだけっていうか」




A「うん・・・自慢したいって思ってくれるだけで嬉しいから」





山田「あとさ、もうここで会う事もなくなるのかなって思って。

  最後に、やっぱここでおやすみって言いたくなって・・・」




キラキラした目が揺れていた。

私の方から涼介に抱きついたら、優しく受け止めてくれた。

そして、いつもしているキスをして、私が改札に入るまで見送ってくれる。




自分の最寄り駅の改札を出て、真っ暗な空を見上げると相変わらず涼介の顔が浮かんだ。

この習慣も、もう終わりなんだね。



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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年9月13日 23時

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