きらめきソーダ水 4 (Ryosuke.Y) (ページ4)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:76,043 hit

4　6/11-12 ページ4

・

めぐとお母さんからは、「おめでとう」「よかったね」と返信があった。

涼介からは、学校から部活に移動するタイミングくらいの時間に

「おめでとう」「俺も頑張るわ」と返信があった。

　

A『涼介も頑張ってね』

人生の、次のステップに進める事が決まったわけで、

嬉しいしホッとしたし、飛び上がって喜びたい気持ちだったのに、

心の片隅で、どうしようもない孤独感を感じていた。

なぜかって・・・

また、涼介との距離が開いてしまった気がしたから。

・

私達の人生で、一緒のステージに立てるのは、5年後・・・

まだ行き先が決まっていない大学を卒業して、その後・・・

21歳の私が、27歳になる頃・・・

「お先に失礼します・・」

そんな風に軽く言える年月じゃないなって思って。

私達の将来に不安を感じていた。

ただ「好き」って気持ちだけでよかった10代。

きっと、涼介はそんな感じなんだろう。

食べ終わったお弁当の蓋をしめながら、誰にも気づかれないように、小さくため息をついた。

・

・

翌土曜日。

そろそろ梅雨入りをするんじゃないかと言われた空は、グレーに覆われていた。

今にも降り出しそうな空気が、体中にまとわりついていた。

涼介に、雨でも試合は中断しないから、雨具を用意してきてねと言われていた。

アップをする涼介と目が合った。

両手を腰にあてていた片手が、小さく上がり、久しぶりに笑顔を見た。

笑顔と言っても、笑っていたのは口元だけだった。

チームメイトに、指をさし指示を出している姿。

左腕のキャプテンマークが邪魔なのか、何度も持ち上げていた。

何度か、練習着でうちに来た時に、ソックスを下の方にたるませて来た事があったけど、

試合の時は、ピチッとヒザの所まで上げている。

怪我防止に、すねあてを入れてるって知ったのは、サクラと一緒に観に来た、初めての試合だった。

私は、だらしなくおろしてるのも、好きなんだよなーなんて思ってたら、大好きな人の声が聞こえた。

山田「集合！」

私の前では絶対出さない声。

その男っぽい大きな声で、ベンチ入りしているチームメイトが一斉に監督の前に集まる。

この姿も、もしかしたら見られなくなるんだろうか・・・

そんな事、考えちゃいけないのに、涼介に言われた「最後だと思って」という言葉が、ずっとずっと頭の中にあった。

・