きらめきソーダ水 (Ryosuke.Y) (ページ28)

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28 Ryosuke ページ28

Ryosuke

Aちゃんに「見に来て」なんて言ったのに、負けちゃって、

情けねえし、悔しいし・・・最悪の気分だった。

　
ロッカールームで、監督から、色々話を聞き、

反省すべき点を確認した。

そして、着替えてロッカールームから出た。

・

毎度の事ながら、女の子達が「キャーキャー」言って

俺達が出てくるのを待っている。

・

今、試合に、負けたんですけど・・・

・

分かってんだか、自分の欲だけなのか、

俺らの周りにまとわりつきだした。

・

俺は、こう言うのが苦手だ。

こういう時こそ、坂本が側にいて欲しい。

知らぬ間に、何かを持たされている。

あー、面倒！！

・

その時、遠巻きに俺らの事を見て、

目と鼻を真っ赤にしている、俺の大切な人に気が付いた。

・

俺は、その人の前まで、夢中で進んでいた。

一つだけ、謝りたいと思ってたからだ。

・

・

山田「Aちゃん・・・

　せっかく見に来てくれたのに、負けちゃってごめん！」

A「ううん、涼介くん、かっこよかったよ」

山田「マジで？！

　でも、見に来てくれて嬉しかった。

　ありがとう」

そう言うと、両手で顔を隠し、

多分、涙を隠してるっぽかった。

・

俺はたまらず、Aちゃんを腕の中に抱き、

背中をさすった。

驚いて、体が一瞬、ピクッとしたけど、

俺の気のせいかもだけど、俺の胸に、Aちゃんの体重がかかった。

そして耳元で「泣くなよ・・・」と言うと、

俺の胸の中で、一回頭を縦に振った。

・

ホントにちょっとの間だったと思う。

・

柔らかくて、小さくて、いい香りがする大好きな人を、

どさくさに紛れて、抱きしめてしまった。

20歳を過ぎた女の人は、こういう事に慣れてるのかもしれない。

・

だけど、俺にはとっても勇気がいる事で・・・

俺の周りにまとわりついている、女子達の視線も気になったし、

これからどうしたらいいのかも、わからなかった。

・

俺の腕の中の大切な人は、ゆっくり頭を上げた。

・

目を真っ赤に腫らしてるのに、口元は微笑んでた。

A「ねえ、涼介くんは、プロの人が作った、美味しいお弁当食べてるんだろうけど、

　普通の女子大生が、普通のお弁当を作ってみたんだけど」

そう言って、可愛い柄の紙袋を差し出した。

・