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隣に子供が二人、そして奥様かな・・・
涼介くんが、初めて見たという普通の家庭。
父兄として来ているようで、お揃いのメガホンを持ち、
会話をしながらｸﾞﾗﾝﾄﾞに目を落とし、始まるのを楽しみにしてる様子だった。
きっと、涼介くんの事を、お兄ちゃんだと思ってる子供達・・・
涼介くんも、きっと嬉しいだろうな。
その様子を少し見ていたら、なんと坂本さんと目があった。
私の事、わかるかな？って思ったけど、
ニコッと笑顔で会釈されたので、私も同じ様に頭を下げた。
サクラ「ねえ、A！始まるよ！」
A「あっ！うん・・・」
ｸﾞﾗﾝﾄﾞに視線を送ると、すぐに涼介くんがわかった。
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そんな事、聞いてなかった・・・・
高校になって、『大変なんだわ』って言ってたのに・・・・
それを見た瞬間、「ドキッ」て他の人に聞かれたんじゃないかってくらい胸が鳴った。
「ポジション」が分からなくたって、それくらいは私にだってわかる・・・
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左の上腕に巻かれた、黄色のキャプテンマーク・・・・
・
審判と相手のキャプテンと三人で、コイントスをしていた。
そして、キックオフのホイッスルが鳴った。
・
私は、詳しい事はわからない。
何がすごいのかも、よくわからないけど、
あんなに真剣な目をしている涼介くんを初めて見た。
私が知ってる涼介くんは、いつも眠そうで、だるそうで、
起きてる時は、いたずらな目をしている。
そして時々、満面のお花の様な笑顔を見せる事もある。
・
大きな声を出し、指をさし、チームメイトと一緒に戦ってる姿・・・
年下なのに、カッコいいって思って。
チームメイトの背中をポンポンと叩いたり、
円陣を組んだ時は、涼介くんが声掛けをしたり、
タイムの時の水分補給までもが、輝いていて、
一瞬たりとも目が離せなかった。
隣のサクラも、興奮して大きな声を出し、
立ち上がって拳を上げている。
男の子達の、低い声援や、
女の子の「キャー」という高い悲鳴。
私はﾄﾞｷﾄﾞｷが止まらなくて、立ち上がる事も、声を出す事も出来なかった。
そして40分の前半が終わった。
サクラ「なかなか、点数につながんないねー。
まあ、両方とも0対0だからさ、後半だね！」
A「あっ、うん・・・」
そのひと言しか出てこなかった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年6月22日 17時
