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16 10月最終週 ページ16





こんな塾の事務員に、なんでこんな大切な話をするのか、不思議だった。



まあ、お役に立てる事があれば、協力はしますと告げ、

傘を借りずに、大急ぎでアパートまで走り、

車の外に立ち、頭を下げている紳士に、私もお辞儀をして、部屋に入った。










A「ふーーっ」




洗面所の鏡の中の自分に、大きなため息をついた。


わかったような、わからないような。


住む世界が違うのは、わかったな。



具体的に、私はどうしたらいいんだろう・・・


まゆ毛が八の字に下がり、なんとも情けない顔だ。


そのままメイク落としで化粧を落とし、サッパリしてから、


冷蔵庫にあるもので、簡単に炒め物を作った。





ベランダに打ち付ける雨の音が優しくなっていて、


小さな音で流しているニュースを見ながら、


いつものように一人ぼっちで、パパッと夕飯を食べた。


















偶然ってあるんだな。



大学近くの図書館に入ろうとしたら、


入り口の外にあるベンチに、山田くんが座っていた。





A「山田くん、こんにちは」





山田「あ、先生。何してんの?」





A「いや、それは私のセリフ!

  部活は?」





山田「雨でさ、急遽休みになったんだよね。

  で、塾の時間まで暇だから、どうしようかなーって」






そう、今日も雨がシトシトと降っている。


珍しく、制服のブレザーを着ていて、ちょっと違う人に見えた。






A「そっか、私は大学が近くで、調べものしようかなって思ってね。

  私は、バイト休みなんだ」





山田「もしかして、大学ってそこの大学?

  うちのグランドの近くじゃん」





A「え?そうなの?

  そうそう、三流大学。

  だから、塾、うちに来てるの?」





山田「そう!

  俺さ、将来やりたい事があってさ、

  でも、うちの大学にその学部がないわけよ。

  で、親にお願いして、外部受験する事にしたんだ。

  そしたら、塾に行けってうるさくて・・・

  有名進学塾のパンフレット持って来たけど、

  部活終わってからじゃ、時間的に通えねえから。

  で、行きたい大学も、一流大学じゃねえし、あの塾で勘弁してもらったって訳」





A「なんか、スッキリした。

  その謎、知りたかったんだよね。


  ねえ、やりたい事って、聞いてもいい?」

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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年6月22日 17時

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