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有岡「じゃんっ!

  仕事中に作ってきました。

  サイズが心配なんだけどね・・・


  ちょっと、来て!」





ペラペラと細長い白い紙を持ち、玄関に向かった。

大貴は、私のご近所用のサンダルをはいて扉を開けると、

手招きをして、靴をはくようにと合図をしてきた。



大貴のスニーカーをはき、一緒に外に出た。



もう、12時近くなので、小声で




有岡「これ、直しとかなきゃ」




玄関脇の表札…



紙に「有岡」と大きく印刷されていた。



「A」の紙を抜き、サイズを確認し、

一緒に持っていたハサミで丁度いい大きさにして

透明なカバーの下に入れ込んだ。





有岡「な?」




声を出さずに、『うん』と頷き、大貴に抱きついた。




有岡「中、入ろ」



私の足元がカポカポと大きな音をたて、せっかく小さな声で話してるのに台無しで。


扉をバタン、ガチャンと閉めると




有岡「俺、足は小さい方だけど、Aには大きいんだな」




大貴はとても嬉しそうだった。

自分のスニーカーが、ぶかぶかだったからか、

それとも、我が家が「有岡」になったからか、わからないけど。











今日は遅いから・・・と言っても、すぐ終わらせるからって

簡単に入ってきて・・・

また、つけずにしてたね。










結婚したからって、特に変わった事はなく、今まで通りの週末を過ごした。



結婚情報誌を買う事はなくなったけど、

タブレットで、物件を見たり、家具を見たり、

ソファーの上で、大貴の腕の中、あーでもないこーでもないって言ってるのが幸せだった。




背中が温かい事。

タブレットを支える、私より大きな手の薬指が光ってる事。

顔が近いので、時々キスをしてくれる事。





夢にまでみた、将来を共に歩く人との時間。





もしかしたら、ケンカをしちゃうかもだけど、

それでも、ちゃんと仲直りする自信はあるな。





私が年上だからかな。





あんなにこだわってた年齢の事が、今は、逆にいい事の理由づけになるんだから面白い。











その後も、11/10、11/24と金曜日の夜遅くに来て、月曜日の早朝に出社する生活を送っていた。





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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年5月21日 18時

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