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A「お待たせ！」
有岡「おぅ」
そう言って、飲みかけのコーラをくれた。
A「ありがと。
ねえ、今、指輪つけたまま入った？」
有岡「当たりめえだろ！
え？もしかして、外して入ったの？」
A「なんか、心配で・・・
でもね、外したお陰で、刻印を初めて見れて、よかった」
有岡「ああ、そっか。
勝手に決めちゃったんだけど、大丈夫だった？」
A「あれって、大貴の気持ちだよね。
婚約指輪と、ちょっとだけ違ったから」
有岡「まあ、まったく同じじゃ芸がないと思ってさ」
A「ねえ、大貴のも見せて！」
有岡「うん」
太い指の節を通す時に、ちょっと指を回転させる仕草が、ぎこちなくて。
まだまだ、結婚指輪に不慣れな薬指。
そんな感じも、今だけの特別感で。
私のより、随分大きな大貴の指輪を受け取り、中の刻印を覗いた。
A「あっ、私のと逆になってるんだね。
日付、私のイニシャル ＆ D って」
有岡「うん、そうそう」
A「あっ！！」
有岡「何だよ、大きな声出して」
A「私、お金出してない」
有岡「後で、たんまり請求書出しますんで！」
A「そうだ！結婚式のお金と、今日の宿泊のお金と、両親の宿泊費もね。
あと、なんだっけ？何かある？」
有岡「めぐちゃんがさ、『お姉ちゃん、お金持ってるから、いっぱい出してもらいな』なんて言ってて。
でね、めぐちゃんが『やろうか、どうしようか悩む演出とかサービスはやったほうがいいよ』って言ってくれてさ。
最後に『お金の心配はしなくていいし、きっとお姉ちゃんも喜ぶと思うから』って付け加えてて。
お金持ちの新婦で、良かったよ。
結婚式を大量に見てきてるから、説明なくても、なんでも対応出来るし、
三分間スピーチも完璧だしさ」
A「ねえ、おばさんで良かったって事？」
有岡「ふふっ、そう。
やっぱ、Aで良かったって思ったよ」
A「おばさんを否定しなかったよね」
有岡「え？そうだけど、全部ひっくるめて、年上のA課長を選んで、良かったよ。
俺自身も、頑張ろう！って気持ちが、強くなる。
ホントだよ。ホント、ありがと！」
年上の人への尊敬かと思ったのに、髪の毛をワシャワシャされた。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年5月21日 18時
