君に触れたい 10【完】 (Daiki.A) (ページ26)

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Daiki

Aの手から、パーカーが落ちたのがわかった。

有岡「ごめん・・・こんなキスがしたいんじゃないんだ」

A「いいの・・・私がいつまでも変な事言ってるから。

　怒ってるんだよね。

　ごめんね・・・もう言わないから。

　ごめんなさい」

有岡「謝るなって。

　もう、俺達は夫婦なんだ。

　だから、そんな心配する必要ないだろ」

そうじゃないんだ。

きっと、また職場が変わるから不安があるんだよ。

そういう不安を、俺がちゃんとぬぐってあげなくちゃいけないのに・・・

本当なら「会社なんか、辞めちゃえよ」って言えたらいいのに。

俺の安月給で、二人分養える自信、ねえんだわ。

それなのに、俺、よく結婚なんかしたな・・・

そんな俺に、よくついてきてくれたな・・・

A「うん・・・

　ごめんなさい」

有岡「ごめん。

　謝るのは、俺だ。

　本当は、「昭和」の文字を見て、また置いて行かれたってショック受けたのは俺だし、

　いつまでも山田さんの事引きずってるのも俺だし、

　
　結婚したら、そんな事気にしなくていいのかと思ったけど。

　完璧、俺のもんになったと思ったけど。

　 Aの心配する気持ちを、ちゃんと受け止めてあげられてない・・・

　やっと慣れた職場を、一年で異動する不安とか、

　昔の女の事で、不安にさせたり、

　年の事もそう・・・

　もっとしっかりしてれば、きっとそんな事も思わずに済むのに・・・」

A「いいの、大貴は大貴のままでいいんだよ。

　ちゃんと私の看病も出来るし、

　結婚の段取りも出来たじゃん。

　自信もっていいんだよ。

　そんな大貴が、好きなんだから・・・」

こんな俺をかばって、そして俺の胸に飛び込んできた。

・

ピロンッ

ピロンッ

　

さっき、俺があいつに送ったLINEへの返信かと思ったら、

やっぱり気になってしまって、「わりぃ」ってチェックさせてもらった。

その行動も、まだ引きずってるって事だよな。

・

有岡「あっ！」

どうしたの？って顔で、首をかしげている。

有岡「あの、あいつ…山田さん、彼女が出来たんだって」

・
　