25 Daiki ページ25
Daiki
幸せそうだった顔が、一気に暗くなってしまった。
俺のせい？
Aが、どうでもいい事、心配してっからだろ。
有岡「お別れ会するけど、来れる？って誘われただけ。
行くわけねえけどな。
なんだよ、信じてねえのかよ」
A「いや・・・信じてる」
有岡「Aはさ、あいつと会う機会が何回かあって、
そういう時、『やっぱり好き』って気持ちになんの？」
結婚式の日に、なんで昔の男の話なんか、しなくちゃいけねえんだよ。
A「全然、ならない・・・」
有岡「じゃあ、俺だって同じだから」
A「ごめんなさい・・・」
まずい・・・きっと顔が怒ってるんだな、俺。
有岡「もー、心配する事なんて、何もねえから。
あ、じゃあ、あいつに結婚式の写真送っておこうかな。
ほら、仙台に来る時、心配かけちゃったし」
A「別に・・・いいよ」
俺と元カノ達の関係なんかより、真面目なAに、俺はヤキモチやいちゃうんだけど。
目の前で、壁ドン見ちゃったし。
結局、俺の方がAの事が心配で、嫌なやつだって分かってんだけど、
あいつに、写真と「結婚しました」とひと言つけて、送っちゃったんだ。
A「寒くなってきたから、部屋に戻ろ」
この観光エリアにも、灯りがつきだし、
日中は、自然の中の気持ちよさを感じるんだけど、
暗くなると、大きな木々が、葉っぱを揺らすたびにちょっと怖くなる。
Aは、俺の腕にギュッとつかまり、俺を見上げている。
俺が怒ってるのが、心配なんだろうか。
有岡「夕飯、食える？」
A「んー、あんまりお腹すいてないけど、
でも、東京と違って、遅くまでお店やってないからね」
有岡「じゃあ、あそこの和食屋で、軽くなんか食おうか…」
A「うん、そうしよ。
でも、お部屋に一回戻ってもいい？
寒いから、パーカー持ってきたい」
有岡「おぉ、いいよ」
きっと、Aと同じ事を考えてると思う。
ちゃんと好きを確認したい。
部屋に入り「はーっ、ちょっと疲れたねー」と言いながら、二人分の色違いのパーカーを取り出している。
A「はい、大貴の分！」
そう言って、俺にパーカーを差し出した腕を、ギュッと引っ張った。
「キャッ！」
壁にAを押し付けて、ずっとしたかったキスをした。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年5月21日 18時
