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大貴が、みんなを集めてくれたんだね。
みんなの顔を見たら、一気に緊張がほどけて、
ホッとして嬉しくて、また涙が出てきちゃって。
介添えさんがガーゼのハンカチを渡してくれる中、
司会の女性の声で「ベールダウン」をすると言われた。
ベールダウン…邪悪なものから花嫁を守るといわれているベールを、
結婚式が始まる前にお母さんがおろして、娘を送り出す儀式のこと。
友達の式で何度も見て、私もやりたいと思ってた事だから、
すぐにどうしたらいいのか、わかった。
母の方を向き、少しかがむと、母が真っ白なベールをふわっと降ろしてくれた。
母「とってもキレイよ。大ちゃんと仲良くね、お幸せに」
A「お母さん・・・今までありがとう」
みんなに聞こえないくらいの、普通より少し小さな声で、
たったひと言、感謝を伝えた。
その後、隣に立っていた父とバージンロードを歩く事になる。
あの、独特な歩き方・・・憧れて、真似してみた事があったっけ。
真っ赤なバージンロードの先には、多分泣いてるっぽい大貴が待っている。
父の腕に、そっと手をかけたら、司会の方からフラワーガールの紹介があった。
フラワーガール…かごに入った花びらをまいて、祝福と共にバージンロードを清めながら歩く子供の事。
もちろんお兄さんのとこの、三歳で幼稚園の年少さんになったハナちゃんだ。
私にも負けない、ピンクのふわっとしたドレスに、頭には花の冠を付けている。
お義母さんが「こっちこっち!」と手招きをして、お兄さんはビデオを回している。
お姉さんは、冷静にニコニコ笑っていた。
ハナちゃんが、小さな手で花びらを捲く姿が、やっぱり皆を笑顔にして、
幸せな気持ちがより一層増していった。
その後ろで、ぎこちない父と少し落ち着いてきた私が歩いて行くと、
やっと大貴の顔も笑顔が出てきた。
父が「よろしくお願いします」と私の手を大貴に託すと、
久しぶりに大貴と見つめ合い、大貴が照れ笑いをしたので、
「うん」と一度だけうなずいた。
そこからは、どこにでもある教会式が始まり、
ベールアップからの口づけ。
心配していた、指輪の交換も、大貴がこっそり用意していた結婚指輪を付けることになった。
大貴の指は、節が太いので、左手の薬指におさまったけど、ゆるいようにも見えた。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年5月21日 18時