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役場の駐車場で、車に乗り込むと、


有岡「A、これからは夫婦だから。

  よろしくお願いします」



そう言って頭を下げた。



A「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」



大貴と同じように、頭を下げた。



大貴は右手で私の耳辺りを支え、顔が斜めに近づいてきたので、私も目を閉じた。

唇と唇がくっつくだけの、軽いキスをした。


スッと離れて、ニヤッと笑ってから



有岡「はい、自分の名前を言ってください」




A「え?!あ、あり、有岡・・・A」





有岡「なんか、変だけど

自分の名前、間違えんなよ!」





A「わかってるよー」




二人で照れ笑いをして、大貴がシートベルトを締めたので、慌てて私も締めて、

エンジンがかかり出発した。




それは、これから二人で歩み始める人生が出発したみたいに、

二人で進行方向をギュッと見て、ゆっくりと進みだした事を、

一生忘れないって思っていた。

左手の指輪を意識しながら・・・









大貴が調べてくれていたカフェでモーニングをいただくことにした。


二人とも、エッグベネディクトとアイスカフェラテを注文する。


大貴の好きなウインナーがのっていたので、私の分を、一本あげた。


「ありがと」っていう顔が可愛くて、珍しく、私から写真を撮ろうよって誘ってみた。










時間がギリギリになっていたので、急いで食べて、ホテルに戻ってきた。





車から降りると、部屋じゃないところへ、手を引かれていた。


去年来た時に、結婚式が行われていた教会の脇を通り、どんどん進んでいった。


花嫁さんとすれ違ったから「ねえ、キレイだよね」って言ったのに、無視されて・・・





一瞬立ち止まった建物には「ウエディングラウンジ」と書いてあった。





A「え?もう、予約するの?」




有岡「いや・・・ちょっと」




また手を引かれ、受付の前まで来た。





有岡「あのー、有岡ですけど」





「お待ちしておりました。

 本日は、おめでとうございます。

 では、早速ですが、新婦様はお時間かかりますので、

 メイクルームにご案内いたします。

 新郎様は、最後の打ち合わせがあるとお聞きしてますので、

 そちらのロビーでお待ちいただけますか?」




大貴は私に向かって「また、後でな」と言い残し、案内された席に向かって行った。





A「ねえ、大貴!ちょっと!」




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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年5月21日 18時

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