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あんまり眠れず、外が明るくなってきたので、そっとベッドから出て着替える事にした。
大貴の寝顔は、ホントに可愛くて。
優しいっていうか、柔らかいっていうか、見てるだけで、癒される。
さっき、唇にキスをしたけど、全然起きそうにないのも、大貴らしい。
軽井沢も水道の水は冷たい。
その冷たい水で顔を洗ったら、一気に目が覚めた。
「婚姻届」なるものを書くんだから、シャキッとして書きたいと思ってね。
それに、大貴に、書いてるところを見られたくなくて。
起きる前に、仕上げておきたかった。
でも、「間違えないように！」なんて言われたから、一人で書くのもちょっと不安だったりもする。
大貴の整頓された荷物を、少しだけ引っくり返した。
あった、あった。
小さいポーチをいっぱい持ってて、色々分けて収納してるのを知ってるから、
絶対、あると思ったポーチ。
鉛筆、ペン、「A」という印鑑。
あっ、私が転勤する時に大貴にあげた、イチゴ柄のマステが貼られた消しゴム＆修正テープ。
まだ、ちゃんと持っててくれたんだ。
大きな窓の側に置かれた、テーブルセットで、緊張しながら、
大貴が書いてあるのを見ながら、書き進めた。
A「ふーっ、出来た」
そろそろ、七時だから、ベッドに潜り込み、大貴を起こした。
A「大貴…朝だよ、起きて」
ちょっとだけ開いている唇。
その下唇を、私の口でパクッと挟んだ。
ビックリして一瞬大きな目を開けた。
そして、私だと分かると、また目を閉じた。
A「ねえ、忙しいんでしょ？今日は。
起きなくていいの？」
大貴の腕の中でそう言うと、慌ててスマホを探し、時間を確認している。
有岡「あ、A。
婚姻届、書かねえと」
A「もう書いたよ。
あの、書いてなかったとこも、書いちゃったよ」
有岡「どっちの姓を名乗るかとか？
本籍は、とりあえず家でいい？
変更出来るみたいだし」
A「有岡の姓を名乗らせていただきますんで。
本籍も、そのままでいいよ」
有岡「一応、チェックさせて！」
A「大丈夫だよー、ちゃんと書けた！」
有岡「なんだよ、見せろよ」
A「いや！！」
ムクッと起き上がり、テーブルの上のそれを見始めてしまった。
どうしても、見られたくない事があったのに・・・・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年5月21日 18時
