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有岡「うん・・・・でもさ、したくなっちゃった。
今日は記念日だし、やっぱり一緒にいたい」
急に子供みたいな事を言いだした。
私は、慌てて、大貴の口をティッシュで拭いた。
そして、悲しそうな顔をする子犬に言った。
A「わかった・・・・今日はうちに泊まらないで、帰ろっか。
それでいい?」
こんなに必要とされて・・・
あんな目で訴えられたら、そう言うしかなかった。
有岡「マジで?!いいの?!」
A「うん・・・・いいよ」
有岡「すげー嬉しい。
じゃあ、出発しよっか!」
とっても元気になって、シートベルトを思いっきり引っ張り、カチャンッと装着した。
私もシートベルトを着け、運転に集中しだした大貴の横顔を確認してから、自分も口紅を付け直した。
車で40分くらいで、私の実家に到着した。
A「車は、そこに停めて・・・
お客さんが停めるとこだから」
有岡「やべえ、やっぱ緊張してきた!」
A「大丈夫だって、ぶつけないように気をつけてよ!」
家の中の影が、動き出したのがわかった。
きっと大貴も、バックミラーを見ているので、気が付いているだろう。
サイドブレーキを左足でギュッとかけ、エンジンを切った。
大貴は運転席から降り、癖である頭を振って前髪を直していた。
後部座席のドアをあけ、上着に腕を通し、紙袋を持った。
有岡「あっ、ごめん。扉あけてあげなくて・・・」
やっぱり緊張してる。
A「大丈夫だよ、一人で出来るから」
「うん」と言い、もう一度前髪を直すために、頭を振っていた。
A「こっち・・・」
私が先に歩き、玄関を開けた。
A「ただいまー」
有岡「こんにちは。お邪魔します!」
大貴も私に続き、声を出した。
奥から母と妹が出てきた。
母「いらっしゃいませ」
有岡「あ、あの、有岡大貴と申します。」
妹「あっ、お姉ちゃんの趣味・・・なんかわかってきたー」
A「いいでしょ、別に」
ヒールを脱ぎ、玄関をあがった。
母「有岡くんも、どうぞ」
有岡「はい、お邪魔します!」
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仕事中の大貴を思い出した。
靴を脱ぐのに、少しもたついたのが、緊張を表していた。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年4月13日 1時