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お母さんは、一気にそう話した。
大切な息子か・・・
私は大貴の母親じゃないけど、年上として、
ちゃんと大貴の事を大切にしないとって心に決めた。
A「はい・・・大切にします。
これからも、よろしくお願いします」
もう一度頭を下げた。
有岡「ほら、行くぞ！」
大貴の顔には、薄っすらと笑顔が残っていた。
大貴母「大貴！頑張るのよ！」
有岡「おぅ！」
顔を半分だけ後ろにいるお母さんに向け、片手を上げている。
私は振り返り、もう一度お辞儀をした。
久しぶりに見る、大貴の白い車。
助手席のドアを開けてくれたので、乗り込んだ。
ふわっとオレンジの香りがした。
私の香りでもある、その匂いを嗅いだら、なんかホッとしていた。
後部座席に上着を軽く投げ、エンジンをかけた。
有岡「あんな事、聞かなくても大丈夫だろ。
母ちゃんが、自分の大切な物を、Aに託した時点で、合格だったんだよ」
A「でも、ちゃんと言葉で聞いておきたかったから。
実は賛成してなかったなんて、後で言われたら嫌じゃん」
有岡「母ちゃんも言ってた通り、反対されたら駆け落ちするから。
これから、Aんちで反対されても、駆け落ちすっかんな」
A「・・・・うん」
大貴は助手席側に体を向け、私の耳の辺りに左手を置いた。
私を安心させるため？
それとも、駆け落ちするという誓い？
顔が、斜めに傾いたまま近づき、そっと優しいキスを落とした。
いつもの柔らかい唇に触れ、大好きが増し、安心も増した。
・
それなのに・・・・
・
有岡「やべぇ、緊張してきた！」
A「え？今？」
有岡「Aの事、好き過ぎて、反対された時の事考えたら、
泣きそうなんですけど！」
A「大丈夫だよ・・・・
こっち見て・・・・」
黒目をキョロキョロ動かして、落ち着かなくなった大貴の顔を、両手で押さえた。
そして、さっきしてくれたみたいに、運転席に体をグッと伸ばし、
私から、そっと唇を合わせた。
それから、大貴の唇をゆっくり舌でなぞった。
大貴の腕が私の背中に回り、私の唇の隙間から、大貴の舌が遠慮なく入ってきて、
しばらくの間、音を立てて続いた。
・
A「どお？少し緊張がほぐれた？」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年4月13日 1時
