君に触れたい 6 (Daiki.A) (ページ43)

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大貴がいた三日間は、まあ、あの理由で、お布団の中には10時前には入ってたから、

早く寝ていた、つもりなんだろうけど・・・

A『まだ寝てなかったよ』

有岡『そっか。

　無事に着いて、夜食を食べてるところ。

　母ちゃん、萩の月、好きなんだって。

　ありがとうってさ。』

A『よかった』

有岡『風呂、入った？』

A『入ったよ』

有岡『そっか、じゃあすぐ眠れるね』

A『うん』

有岡『あのさ、天むすの袋の中の』

A『ああ』

有岡『ホントは下着の方がよかったけどさ』

　『持ち歩くには、これの方がいいな』

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下着は、さすがにあげられないけど・・・

私のお気に入りの水色のハンカチタオルに、オレンジの香水を吹きかけて、

天むすに匂いがうつらないように、ジップロックに入れて、

一緒に入れておいたやつ。

A『何も用意がなくて、うちにあったやつでごめん』

有岡『いや、これ、仕事中に使ってたの見た事あるから』

A『え？そお？』

有岡『うん、クマが付いてたから覚えてる』

A『えー！怖ーい！』

有岡『怖くねえわ！』

A『ふふっ』

有岡『わりい・・

　ホントは電話すればいいんだけど、

　バイバイのタイミングを逃しそうで。

　早く、寝かしてやりたいからさ』

A『じゃあ、最後のひと言だけは、声聞きたい』

有岡『わかった』

すぐに電話がかかってきた。

有岡「おぅ・・・」

A「大貴・・・」

有岡「A・・・愛してるよ。

　おやすみ・・・」

A「大貴・・・愛してる。

　おやすみなさい・・・・」

有岡「いいか、せーのーでで、一緒に電話切るぞ」

A「うん」

有岡「またな、おやすみ」

A「おやすみなさい・・」

有岡「せーのーでっ！」

プチッ

こうやって切らないと、いつまでも話していたくて・・・

乱暴な切り方だけど、これが私達の優しさなので・・・

二時間以上かけて、帰って行った大貴を、早く休ませてあげたいという私の気持ちと、

私が、朝から家の事をやって出掛けるのを知っている大貴の気持ちと、

お互いの事を、大切に思うからこその事だから。

耳に残った大貴の声を思い出し、ベッドの中で目を閉じた。

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