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Daiki
片付けが終わったAは、何かを手に、キッチンから出てきた。
A「ねえ、夕飯の時間が早かったから、夜お腹空いた時用に、これ作ってみたの。
よかったら、持って行って」
いわゆる『天むす』だった。
おにぎりから、エビの天ぷらが飛び出していた。
有岡「マジで？！嬉しい！」
A「大貴、おにぎりの具は唐揚げが好きだって言ってたし、
こう言うの、大丈夫でしょ？」
A「ぎゃっ！」
思わず、Aを抱きしめていた。
そして体を少し離し、キスをした。
この温もり、この感触、この香り・・・記憶する為に必死だった。
A「ねえ、私も仙台駅まで行くね。
だから、着替えてくる」
有岡「もう、暗いし、いいよ。
心配だからさ」
A「あれ、やってみたいの。
新幹線のホームで恋人たちがお別れするやつ」
有岡「じゃあさ・・・」
A「何？」
有岡「泣くなよ・・・・心配だからさ」
A「え・・・・うん・・・」
自信なさそうな返事をして、プイッと向きを変え、着替える準備をしだした。
・
次に来る約束を、カレンダーで確認しながら、決めた。
Aは嬉しそうに、ハートのシールを貼っていた。
俺も、スマホのカレンダーアプリに、ハートのスタンプを押した。
有岡「そろそろ、行くか・・・」
上着を着て、玄関で靴をはき、最後にもう一度キスをした。
何も言葉を発しなくても、心の中で会話が出来た気がした。
・
仙台駅に着き、俺が新幹線の切符を買ってる間に、
Aは何かを買ってきていた。
自分も入場券を買い、改札の中に入った。
A「ねえ、これお母さんにお土産。
仙台銘菓 萩の月」
有岡「おお、わりいな。
ありがとっ」
指を繋ぎ、エスカレーターに乗り、一段先に乗ったAのすぐ後ろに乗り、
顔が同じ高さになるのが、ドキドキする。
必要以上にくっつきホームについた。
新幹線の出発時刻まで、あと10分ある。
俺の乗る車両の所まで行き、やっぱり胸の中に、Aをおさめた。
しばらくして、Aの方から体を離した。
そして俺の目を、下からじっと見上げてる。
俺との約束を、破りそうな顔だった。
たまらず、おでことおでこを合わせ・・・
唇と唇も合わせた・・・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2017年3月6日 21時
