君に触れたい 6 (Daiki.A) (ページ27)

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Daiki

黒い革ジャンの背中を見送ってから、Aの手を取り、「行こっ！」って顔を見た。

さっきの笑顔は消え、眉間にシワを寄せ、下を向いていた。

有岡「あのさ・・・」

シワを寄せたまま、俺の顔を見た。

有岡「あの・・・話したい事あるし、ストーブ置きたいから、いったん、家に帰ろ」

A「うん・・・」

まだ、帰る道順に自信がないから、上の方の看板を目で追いながら、歩いていた。

お互い、特に何か話すわけでもなく、人を避けて歩いていた。

地下鉄は、そんなに混んでなかったけど、Aを俺の胸の中に抱いた。

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実は、さっきAを安心させるために、嘘を並べてたとこがあって、反省していた。

圭人にも訂正しておきたいなって思って。

３カ月じゃなくて、６カ月付き合ってた事。

あいつの財布は、俺だけじゃなくて。

俺は、２番目くらいの財布だった事。

他にも、財布な男はいたっぽい。

部屋はキレイだった。

何もなくて、逆に落ち着かないくらいキレイだった事。

料理が、出来なかったのはホント。

Aを好きになった理由は、料理が上手ってのはあるし。

そして、人気はあった。

もう一つの財布の男とも仲良くて・・・

ってか、そっちが本命だったのかもしれない。

小さくて、可愛くて・・・・

つい、後ろから抱きしめたくなる子だった。

俺は、自分より小さい子に弱いんだな、きっと。

Aもそのタイプだから・・・

圭人の印象通り、職場でイチャイチャしてたら、「人前で、やめて！」って怒られてしまって。

イチャイチャって二人でするものだから、俺がベタベタしてたんだな、きっと。

・

ああ、ダメだ・・・・

その件で、Aが不安がってるのに、そんな事を考えながら、Aの背中に腕を回してるなんて、ホント、ダメなやつだわ・・・

最寄り駅に着き、アパートに向かった。

俺が話しかけなければ、自分からは話したくないのか、黙っていた。

それでも、俺の手をギュッと握ってくれてるので、きっと大丈夫だろうって思ってた。

アパートに着き、Aが鍵を開けてくれて、下駄箱の上に鍵を置きながら、

A「大貴にも、合鍵あげるね・・・」

そんな事、言ったから、嬉しくて、思わず抱きしめていた。

A「痛いよ、大貴。中に、入ろっ・・」

良かった・・・

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