第七十一章 ページ29
「おう!全然大丈夫だぜっ!入れよ!」
「お邪魔します」
「よぉ、夕奈。新八に用があんなら、俺は出てくとするか」
「あ、大丈夫だよ左之さん。二人を探してたから丁度いいしそこ居て?」
中に入れば探して居た左之さんもいた
立ち上がろうとする左之さんを止めて、私は適当な所に座る
「んで?俺達を探してたっていったな、どうしたんだ?」
「新八。ちょっと頼みがあるんだけどいい?」
新八は腰を下ろし、眩しい笑顔を見せながら聞いてくる
私は真剣な顔つきで話を切り出して彼を見つめる
そうすれば新八も真剣な顔になり私を見つめてくる
左之さんも笑顔が消えて真剣な顔つきになる
「あのね......髪の毛触られて」
「「.............はぁ!?」」
真剣な顔と真剣な声音で発せられた言葉を聞いて、二人は少しの間を置いて何とも言えない顔をしながら反応した
「駄目?」
「い、いや、駄目っつぅか、なんつぅか....もっとこう真剣な内容だと思ったからよぉ、拍子抜けしちまって」
「おいおい、何かと思えば髪の毛触られてくれって....拍子抜けもいいとこだぜ」
二人の反応が楽しくて、ついつい笑ってしまう
「って事で失礼!」
「あ、おいっ!」
新八に近付いてから立膝をついて、両手で短い髪の毛を触る
しっかりしていて硬いけど、思ってたよりは柔らかい
何だか、その毛質が愛した人に似ていて胸が締め付けられ切なくなる
気付いた時には私は新八の頭を自分の胸に引き寄せ抱き締めていた
「っ!!??えっ、夕奈ちゃん!?」
「なっ...!!??(新八後で覚えてろよっ!)」
「(さ、左之っ!?やべぇ、あいつから殺気が!!)夕奈ちゃん!い、いい加減離してくれねぇか?この状況は....ちとな...」
「あ.....ごめん新八。重なったからつい....思い出しちゃって...まぁ、ほら。サラシ巻いてるし」
ハッとなり慌てて新八から離れる
頑張って笑うが、私は上手く笑えているんだろうか
泣きそうになっていないだろうか
くそ、まさかのこんな所で思い出すとは
新八の髪、恐るべし
「いや、そう言う問題じゃねぇっていうか...俺の命がなくなっちまうんだよー!!!」
そう言う新八は顔面蒼白で、叫びながら障子をスパーンと開け部屋を飛び出した
え、めっちゃすげー勢いで逃げやがったあいつ
そんなに嫌だったのか?
後でもっかい謝ろう、そう決めたのだった
そして、開け放たれた障子を閉めてまだ部屋の中にいる静かな左之さんを見る
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ぷー(プロフ) - mizu217(ニイナ)さん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!!キャラ崩壊してないかとか色々心配ですが...かっこよく書けててよかったです! (2017年8月25日 12時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
mizu217(ニイナ)(プロフ) - もう、無理です。左之さんかっこよすぎです〜!! (2017年8月25日 4時) (レス) id: 908cde38bf (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» お心遣いありがとうございます。優しさが心に染み渡ります...!これからもこの作品に目を通していただければと思いますので、よろしくお願いします。 (2017年8月24日 8時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
Asora(プロフ) - ぷーさん» いえいえ! こんな事言える立場では無いですが無理はしないでください!何時迄も楽しみに待っていますので! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 32969ac174 (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» ご指摘ありがとうございます。全然気付きませんでした...!!また何かありましたら、教えて頂けると嬉しいです。そして、嬉しいコメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しい限りです。これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月21日 10時