原田side ページ29
「桐生、そういうわけだ。原田と行ってくれ。それと、毎回毎回たまたま俺が起きてるからっていきなり障子を開けんじゃねぇ。わかったな」
「はーい」
土方さんはよく見ると疲れた表情を浮かべながら、自室へと戻っていったが、その背中に声を掛けたのは夕奈だった
「ーーー土方さん。仕事を他の人にも振って自分が少し楽するのも、貴方の仕事だよ。おやすみ」
「ーーーわかってる」
夕奈の言葉を聞いて、少し口角を上げて笑った後静かに障子を閉めた
ありゃまたやるな
仕方ねぇ、近藤さんにも話して土方さんの仕事の量を俺達に分けてもらうか
一人考えていると、夕奈は俺を見上げて言った
「左之さん。厠へ一緒に行きましょう」
「了解。んじゃあ、行くか」
これが逢引の誘いなら何も文句ねぇんだがな、と思いつつ何でもいいからそばに居たいと思うのは、惚れた弱みってやつなんだろうな
厠に着いて先に行ってくるよう言うと、何故かあいつは厠の目の前で立ち止まれば、勢い良く振り向いて言ってきた
「左之さん!ほんとに其処でちゃんと待っててよ!?気付いたらいないとか嫌だから!!絶対だよ!」
「わかったから早く行って来い。ちゃんと此処にいてやるから」
子供みてぇだな、と思いながら早く行くよう促す
初めて見る相手の一面に嬉しさを感じ、もっと俺だけを見て、俺だけを頼って欲しいと強く願った
「ーーーふぅ、スッキリスッキリ!」
「お前...女なんだからあんまそういう事平気で言うなよ」
「あ、つい」
こう言う事を恥じらいもなく言うこいつを、本当に女かどうか疑いたくなる時がある
笑ったこいつの頭に手を乗せて、「俺も行ってくるから待ってろ」と言いながら厠に向かった
厠から出れば、ボーッとしている夕奈に歩み寄り、静かに声をかける
「何してんだ?」
「ん?月見てた。なんか、この時代で見る月は大きく見えるなぁって」
「そうなのか?」
「うん。まぁ気のせいかもしれないけど」
そんな会話をしながら廊下を歩いていると、俺の部屋が見えてきた
「俺の部屋は此処だからよ。ゆっくり休めよ?」
「あ、うん....」
「夕奈?どうした?」
俯いている夕奈の顔を覗き込みながら、どうしたのか尋ねるとこいつはとんでもねぇことを口にした
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ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが? (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月17日 11時