第二章 ページ7
羅刹達に囲まれ身動きが取れず、女に向かって一斉に刀が勢いよく振り下ろそうとした刹那ーーー
ーーズブッ!!!
ーーズシャァァッ!!!!
「「ぐ、ゴフッ.....あ"ぁ....」」
ーーグサッッ!!!!
「....う"ぁ....ぐはっ...」
女の目の前で血飛沫が舞い、羅刹の悲鳴が鼓膜に響く
むせ返るような鉄の匂い
女はあの時の出来事が、脳裏をよぎる
チャキンッと刀の音が聞こえハッとなり羅刹を倒した人物に目を向ければ、女は愕然とし
「あーあ、全部僕が殺そうと思ったのに。一くんも左之さんも仕事が早いよね」
「何を言っている総司。一人で三人も一気に殺せるわけが無かろう。それにしても、こうも正気を失っては使い物にならぬな」
「そうだぜ。いくら総司でも、無茶すんじゃねぇよ」
「あれ?二人は僕がこいつらにやられると思ってるの?心外だなぁ。ーーーところで、君。今の見ちゃったよね?」
女の目の前には良く知る浅葱色の羽織を着て、返り血を浴びたこれまた良く知る三人の人物がおり
三人の会話している姿を女は目をこれでもかと見開きながら食い入るように見つめていれば、そんな女を総司と呼ばれた男が読めない笑みを浮かべながら血のついた刀を首筋にピタリと宛行った
(....沖田総司に斎藤一、そして原田左之助....間違いない、新選組だ...じゃあ此処は薄桜鬼?)
ヒヤリとした感覚とヌルッとした感覚が首筋に感じれば、女は目の前の男から視線をそらす事なく問われたことに対して答え
「ーーー見ました。私を、殺しますか?」
女の声は凛としていて怯えている様子はない
そんな様子を見て刀を向けていた男は一瞬目を大きく開いた後、口を開いて笑い出した
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月11日 20時