土方side ページ22
「....(こいつ、入って来た時と雰囲気が変わりやがった。腹を括ったって事か。女だってのに、大した奴だな)」
「...........」
こんな時でも気丈に振る舞うこいつに驚く
もしかしたら今から死ぬかもしれねぇって人間が、こんな態度を取れるだろうか
この屯所に来て殺気や警戒しか浴びず、恐れられている新選組幹部相手にこんなにも堂々と出来るだろうか
しかも相手は女だ
完全に見くびっていた
おもしれぇ
そんな事を思えば、自然と口角が上がりそうになるが今は抑える
「お前の処遇を言い渡す。ーーーお前は新選組お預かりとする」
「........えっ？」
女との沈黙が続き、口を開いて処遇を言い渡せば、思っていたのと違ったのかかなり情けないほど間抜けな顔をしてやがる
返ってきた声も驚くほど間抜けな声だった
「何だその顔は。お前はは生かすっつってんだ。不満なのか」
俺は女の反応を見て眉間にシワを寄せながら腕を組み言う
「.....い、いえ...ただ、思っていたのと違ったので、少し驚いて.....」
そう言うと目の前の女は、緊張の糸が切れたかのように一気に全身の力が抜けるのが目に見えてわかった
俺を見ている目が少し涙で潤んでいるのがわかる
さすがにもう泣くだろうと思いながら見ていれば、泣きそうなところを見られまいとしているのか、必死に目に力を入れて耐えてやがる
誤魔化すためにか縛られている手を床につき、頭が床に着くくらい深く下げながら女は心からの感謝の言葉を口にした
本当に大したもんだと思った
弱いところを見せようとせず、泣くまいと必死に堪えているその姿に見入る
少しの間女は頭を下げていたが、ゆっくりと上体を起こし再び視線が合う
敵わねぇな、こいつには
と素直に思う自分がいるのが不思議でならないが、目の前の相手に向かって俺は言った
初めて口にする相手の名を強く紡ぐ
「ーーー桐生。此処にいる間は俺の指示に従ってもらう」
土方side
￣￣￣￣
(こいつみたいな女は見た事ねぇ)
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月11日 20時
