原田side ページ17
女が出て行った後の広間はやけに静かだった
みんな出て行く間際のあいつの行動に驚いている
それだけじゃねぇ、今までの行動全てにも驚いてる
いきなり信じがたい話を聞かされた俺たちは、正直言って誰一人として信じちゃいないだろう
だが、あの女の態度と口調、目があんまりにも真っ直ぐで堂々としてたからか、理由はわからないが、何故かあいつの存在が、気になった
あの女の話を信じよう、そう思ってしまった
出会ってまだほんの少ししか経っていない
交わした言葉も昨夜の一言だけ
なのに、何故こんな気持ちになるのかが自分でも訳が分からずにいた
ふと静寂を破り一番最初に口を開いたのは総司だった
「あの子、本当面白いなぁ」
楽しそうに笑いながら言う総司を土方さんは睨みつける
「総司。てめぇは何楽しんでやがる」
「だって、面白いじゃないですか。あんな子見た事ないですよ」
「なぁ、土方さん。あの人本当に殺しちまうのか？」
「平助。あの者が我々の秘密を黙っているという確証はないのだぞ」
「けどよぉ、斎藤。やっぱり女を殺すってのはどうもなぁ...」
「なぁ、トシ。あの子を生かしてやらないか？話を聞く限り、行く宛などないようだし。それに、あの子は一回死んでると言っていたのだぞ？生きることができるとなって直ぐ命を奪うなど....」
「近藤さん...あんたまさかあんな話を全部信じてるわけじゃあねぇだろうな？」
「にわかに信じがたい話でしたしね。間者だと言うこともあり得ますし」
俺たちはあいつの処遇をどうするかについて其々意見を述べている
殺すか生かすか、選択肢は二つに一つだ
最終的には近藤さん、山南さん、土方さんの三人が下す
そして、今まで黙り込んでいた俺は静かに口を開いて土方さんを真っ直ぐ見据えながら、誰もが予想していないだろう言葉を発した
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月11日 20時
