〇 拾漆 ページ17
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(…え?)
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驚いて振り向くとさっきの赤髪の少年。
息を切らして私の前に立っている。
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「あの、…あなたの強さの秘訣を教えてもらいたくて」
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焦って追いかけてきたからなのだろうか、…そんなに距離がある訳ではないはずなのに息が切れているということからすると…。
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私は、無言で彼のお腹を指差す。
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「全集中“常中”」
「…え?」
「あなたも使っているでしょう。全集中の呼吸。それを24時間やり続けるのです」
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少年はぽかんと口を開けている。
無茶言うなとでも思っているのだろうか。
…うん、私もあの時そう思った。
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「無理だと思っても死ぬ寸前まで努力して。 …少なくとも、私はそうやって強くなった」
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元々、煉獄家でもなければ鬼殺隊の誰かがいた訳でもない我が家。
もちろん剣の才能があるはずがなかった。
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それでも、血を吐いて、地面を這いででも、強さを手に入れようとしたのは…、
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そうじゃないと、あの家にいれないと思ったから。
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父上が指導してくれなくなってからも杏寿郎と2人で努力し続けた。
どんどん強くなる杏寿郎が羨ましくて、辛かったけどそれでも私は、諦めなかった。
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「…それから、さっき言おうと思ったのだけど、人に名前を聞くときは、自分から名乗るのが常識というものですよ」
「あ…。竈門、竈門炭治郎です!!」
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彼の…炭治郎くんのその必死さが、なんだか私には、眩しく見えた。
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作者名:真陽 | 作成日時:2019年4月19日 20時