人間の僕 ページ10
お風呂なんて随分と久しい。
服を脱いで、お風呂のタイルに足をいれる。
シャワーを捻って、それを浴びる。
『…ｯｺﾞﾌ』
いたい
所々についていたモノが外れていく。身体の中心についていたモノだけ取れなくて苦しい。痛くて、苦しくて、シャワーを止めた。……立てない。
「大丈夫？さっきのなんの音……ってA?!」
誰かが来て、身体の中心についていたモノを取ってくれて…………気づいたらベットに戻されていた。
バスタオルに包まれている自分とサイドテーブルに置いてある元の服。とりあえず着替えたけれど、ここはどこだろうか。
ｺﾝｺﾝ＿「開けるよ？」
『はい』
「あ、起きたんだ、良かった。調子は？大丈夫？」
自分に向けられることのなかった言葉が、怒涛のように流れ込んできて上手く受け止めきれなかった。
『…えっと』
「あ、俺んそめね。」
そう言いながら僕の隣に座った。
『んそめさんありがとうございました、色々と。
今はもう大丈夫です。』
「んーん、むしろ俺でよかったよ。」
どういう意味か聞こうと口を開けたがそれは声にならず、んそめさんが別の会話に変えた。
「お腹が空いただろうなって思ってスープ持ってきたんだ、食べない？」
『あ…いただきます。』
食べる僕の横でんそめさんはベットの横に置いていたらしい袋から僕についていた幾つもの機械を取り出して眺めていた。
『…あの、ごちそうさまでした。』
「あぁ、うん。1つ聞いてもいいかな。」
頷くと真剣な顔でこちらをみた。
「この
『っ…』
嫌な記憶が浮かび上がり、あぁでもこの日は……。
『た、ぶん11年前……です。』
「そっか…うん、ありがとう。この袋ごとちょっと借りてもいいかな？」
『はい…どうぞ。』
ゆっくりと閉まった扉を眺めながら思い返してしまった記憶に浸る。
あんなに苦しくて痛かったのに、もういないんだ。
このねじ曲げられた思考じゃ、ダメなのに…
あの人たちみたいな人間になりたくないのに
あの人たちはこんな苦しみも知らずに死んだんだ。
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