逃げ道 ページ39
「おつかれー、泣き疲れた？」
小さく頷きながらみんなの顔を見る。苦しそうな顔は見せないようにしてくれてるみたいだった。でも言わなくちゃ。
『みんな聞いたんだ。…ぐちつぼ、ありがとう……でも、皆と一緒にいられない。』
そう伝えたけれど何も反応はなかった。いや、、むしろ笑ってた。俺は真剣なのに。
「もう気にしないでいいよ。」
かねごんがそう呟いて、説明してくれる。補足をほかの人たちがしてくれて、理解が追いつかない俺をまってくれる。苦しそうな顔は本当になかった。隠してるんじゃなくて本心から俺といることを喜んでくれている。
「らっだぁに任せとけ。あいつやる時はやるから。」
すこし、気を抜いただけ。安心しただけ。
館へ衝撃が来た。緑が倒れ、この館が安全ではなくなったことを察する。全員で地下室へ入った。地下にある脱出口の前でたとえ屋敷から出なくともアスレの場所へ逃げれると思っていたから。
「スペクテイターで見てくるわ。覗いたりすんなよ？スペクテイターだと会話できんから。」
「レウさん、らっだぁと連絡とっといて。俺アスレの方見てくる。」
「あ、うん。わかった。」
俺らはレウに視線を寄越すしかやることがなかった。
「…らっだぁから返答来ないな」
そう呟いた誰かの声でいっそう空気は沈んだ。
「!!、、ごめん!!ぐちつぼ、らっだぁから連絡来たら出といて!!」
レウがそう言いながら走り始める。その後をげんぴょんが追いかけていった。
「コンちゃんが、倒れたって。きょーさんが見つけてレウさん呼び出したみたい。スペクテイター解除されてたっぽい。」
「館の機能が乗っ取られはじめてるってこと？とりあえず緑くんが起きるまで耐えないと…っ」
「え？まってまって、それおかしくない？なんでレウさん"が"呼び出されたの？きょーさん、コンちゃん出てったの知らないよね？」
「えでもさすがにそれは会ったんじゃない？」
「いやおかしい。館とアスレ場の距離じゃ見えたとかじゃなくて見に行った、って感じだろ。罠だったっぽくね？」
「えー、、原人さんも着いてったから大丈夫だと思いたいけ「ハシゴ登れ!!」
その声の瞬間ピリついた空気に変わり、その瞬間俺は落っこちていた。はしごなんて関係なくぶん投げられたようだった。
みんなは入れたかな。それにあの声。
あの違和感はなんだろう。どんな声だったか思い出せない。
それでもこれが逃げ道だと信じて。
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