残り時間 ページ37
あたたかい食事が終わる頃だった。
壁から何か刃物が突き出してきた。その穴を広げるように刃物は何度も抜き差しされ、壁が崩れた。
「うわぁ?!」
焼きパンの悲鳴と壁が崩れる音で私たちは全員その場所を見つめることになる。人影と刃物は見覚えがあった。というか見覚えどころでは無い。倒れたその人影に皆が近寄る。
「らっだぁ?!」
「いいからっ、喋んなって!!なんで、こんなっ、、」
「や、かたに、、にげ、て」
らっだぁさんは倒れたままそう呟いた。目を開く気配はない。意識を失っているようだった。
ぐちつぼがらっだぁさんを抱え、皆一斉に館へ走った。
「A危ない!!」
「いいから走って!!」
「A急いで!!」
「狙われてんのはAだ!!!!」
館が見えてきた矢先、足が止まりそうになった。
館はあんな大きな入口じゃなかった。あんな丸見えじゃなかった。
館に入って、倒れているレウさんに近づいた、が…これ、レウさんじゃない。
「…Aつかって、はやく。」
、、らっだぁさんの声。あぁ、"逃げないと"、か。
『皆!!俺に捕まって!!』
全員がいることを確認して、ネットワークへ飛び込んだ。この間のように、緑さんがまた連れてきてくれた。
「…ﾖｸﾜｶｯﾀﾈ」
緑さんの能力はコピー。だからネットワークと繋がれた。だから制御の方法を教えて貰えた。
「らっだぁが重症。だから、きょーさん。」
「分かってる、やけどさっきレウとコンちゃんにやったばっかで、、足りひん。」
「じゃあ俺の使ってよ。他の奴らより俺の方が多いだろうから。」
そう言ってげんぴょんが袖を捲り、確かめるように腕をさすった。
「…点滴で頼む。」
「流石にそうじゃないときょーさんが死ぬねw」
きょーさんは悪い血を良い血を体内で混ぜて傷を塞ぐ治癒、と言うよりは再生能力らしい。血の型すら無視するこの能力は血さえあれば最強なんだろう。
「…これで安静にすれば大丈夫やろ。」
「今日はここで過ごす感じだよね？」
「ﾑﾘ」
「え」
「…ｿﾛｿﾛ破ﾗﾚﾙ」
皆に？が浮かんだそのタイミングで、起きたらしいレウさんがやってきた。
「Aっ………今決めないといけないんだ。なんのことか分かるよね。」
「…今じゃないとダメって、、」
今俺がここに残れば死ぬということ。何故レウさんがしってるのかは知らなくても表情を見るに本当なんだろう。
他の人を差し置いて、俺を含めた3人だけ苦い顔をしていた。
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