謎の黄宝 ページ20
廊下を走って走って…そういえば
僕かねごんの部屋の場所知らない!!
気づいたら走る足が止まり、浅かった呼吸を整えるしかなかった。
廊下には西日が容赦なく刺していて目をそらすために反対の窓に目を向ける。偶然にも窓を通して見えた廊下にかねごんが歩いていたのを見つけ、咄嗟に走り出す。
歩いていったのだからその場にいるはずない、そんなことわかっているのにその場に走った。
窓から刺す日にさっきの影はなかった。けれど、その場で蹲っているものが、あった。
『…かねごん？』
そっと声をかけてみる。応答はない。近づいてみると彼の身体が透けているような錯覚を見た。
『かねごん……？』
彼の微動だにしなかった身体が僕に巻き付きはじめた。
冷たい、いや生あたたかい？…気持ち悪い、怖い、、色んな思考回路が僕の邪魔をする。彼は僕の手から黄色いキーホルダーを奪い取った瞬間僕から離れる。そして身体の中に入れた。
「ｯはぁ……っ、、うぇ"……」
何度か葛藤をして乗り越えた彼は触角の目を開け、僕を見た。
「…ごめん、A。皆がAを嫌った訳じゃないから。俺のせいでああなったっていうか…んんと」
言いたくないのか言いにくいのかそれは分からないけどこちらを伺うように言葉を紡ぐのをずっと見続けるのは無理だった。
『うん、大丈夫。聞いたりはしない。でも一つだけいい？…皆と話したい、かねごんもいっしょに。』
「わかった、、…ありがとう。」
誰からいこうか、それとも集めてしまおうか、そんな話をしていると階段を降りてくる音が聞こえてきた。その人物はこちらを見て話し出した。
「Aとかねごん？…不思議な組み合わせしてんね。」
『…こんそめ？』
僕は思っていたよりもめんどくさいらしい。頭では理解していたのに、なんでこんなにも嬉しくなっているのだろう。……だめ、これはだめ。こんなことしたら。だ、めだって、、だめだって、ば。
頬を伝う涙をどんなに止めようとしても出来なかった。あぁここに来てから泣いてばっかりだ。ここなら受け止められてしまうから。
「いいよ、泣いていいよ？」
ほらそうやって甘やかすから。
「何があったかわからんけどとりあえず俺の部屋来る？」
「わーこんそめ大胆」
「は？」
「…A、行こっか。」
『…w』
「笑ったな？w」
『笑ってない笑ってない』
「いーや笑ってたね」
そんな会話をしながらこんそめの部屋に足を踏み入れた。
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