消えていく壁 ページ18
「A!!、、とげん、じん。」
息が切れてて、僕を探し回っていたのだとわかった。
「あーあ、もうそこまでいくと依存じゃない？ぐっち。」
「……そうかもな。まぁお前のことかねごんが探してたってことは伝えとく。」
「あいよ、てことだからばいばい。」
僕に向かって手を振ってから廊下を走っていった。
「んだあいつ………あっ、A!!あいつになんも言われてない？なんのはなししてたんだ？てか目赤くなってるしなんかしただろアイツ!!」
『…ぁ、え？いや本当に違います。』
「嘘つけ、あいつ本当なんでも言うから。…昨日だってたらこのこと」
『今回は本当になんも無いです、って！』
「あいつなら……んん…いやああいうこともしそうだし……ん〜…。」
どんなに否定しても名前を呼んでも反応がない。だから
『っぐちつぼ!!』
なんて叫んでしまったのだけれど。ぽかんとしているぐちつぼさんは思考を停止させて僕をみていた。
『あっ、えっと……そういうつもりじゃなくて、あの……、あれ？…………ぐちつぼさん？』
「……ぐちつぼでいい、なんなら敬語もいらない。」
『え?!いやそんなこと………』
「おーねーがーいー!!!」
『無理ですって!!………………………はぁ、わかりm……わかったっよっ、だぁ〜!!腕振り回すのやめてっぐちつぼ!!』
「分かりゃいい!!」
強引すぎるぐちつぼs……ぐちつぼに呆れながら僕は内心温かくなっていることに気づいていた。ぐちつぼのことを知れた気がした。もっと皆と……。
部屋へ帰る道でご機嫌すぎるぐちつぼは楽しそうにいった。
「Aがはじめて心開いてくれた気がする!!」
次の日にはほかの人たちも強請ってきて、既に断ることは諦めていた。
どうやら僕が必死に使っていた敬語はいらないものだったらしい。
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