見つけてしまったから ページ17
頭が痛くなって起きる。
ベットに寝ていた身体を起こすと、1人だった。
意識が覚束無いまま部屋のドアを開いた。あまりに軽く開くものだから少しヒヤッとした。
「ぅるさい!!……じゃあなんか出来んのかよお前!!」
声が廊下に響き、小さく…いや段々と近づく足音に走っているのだと分かる。少しだけ空いている隙間から走り去って行こうとするのが何か見えた。
何故、その時それを追いかけたのかは分からない。気づけばあのウサギ小屋のある庭に出ていた。
「はぁっ、、ぅ……な、んで、……なんで、なんで!!」
叫びようのない思いが夜に消えていく。大事なことは喉をつっかえて出ないのに、行き場のない思いだけがそこに吐き出されていた。
「あの人間…………………ほんと最悪…」
「おまっ?!…………なんだよてめぇ。」
この方は人間じゃない。でも、誰かに似ていた。
僕の大切な、人。ずっと1人で悩みを抱え続けた人。
自然と口が開いた。
『…人間でなければ僕はここに居られましたか？
………わかってます、僕は人間でしかないし、if物語は存在しない。』
「…何が言いたい」
『僕人間が嫌いです。あんな人達の考えもその考えが分かる自分も同じような考えをする自分も嫌いでした。
でも僕は人間にしかなれないみたいです。そう言われました。』
「だから何が言いたいんだよ、そんなこと俺には…」
『そしてこの場所が好きです。僕の思う人間がいない、この場所にずっと居たいです。言ってましたよね、逃げることはできないって。でも僕には逃げる居場所はありません。
どんなに自分の存在を証明しても僕は人間として人間に迎え入れられることはありません。
……数年前から僕は死んだことになってますから。』
人間が嫌いでこの場所が好き。僕が考えたこの方と僕の唯一の共通点。
「……………………俺は嫌いだったんじゃない。
人間がどんな奴らかは知ってる。それに…関わればお前に興味を持つことなんて分かってるんだよ。こんな場所を訪れる奴なんて普通じゃないからな。
人間なんてあいつらみたいのばかりだって思っても、あいつらの良さだって知ってるし拒絶するには難しかった。
ただ関わりたくなかった。怖かった。」
はじめて伝わった。自分の考えが伝わった、こんなこと考えたこともなかった。
月明かりに照らされた彼の顔は忘れられないほど綺麗だった。…笑っていた。
「…泣くな、ほらもうお前には心配する奴がいるんだから。」
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