どっちが悪夢 ページ11
ｶﾞﾁｬﾘ
ふと意識が戻って、辺りを見渡す。そこは変わらずんそめさんが連れてきてくれた部屋だった。
…さっきの鍵が閉まる音は何？
そう思って身体を起こし、ベットを降りる。
扉に伸ばした手がナニカにぶち当たった。
壁などないはずなのに手は透明な壁に阻まれて伸ばせない。瞬くとそこは見慣れたいつもの小屋だった。
牢獄のような小窓が夜中であると知らせている。
そっか、そうだよね…
夢だったんだ、火事になればって思っちゃったのかな。
ﾊﾞｧﾝ
扉が勢いよく開かれた。もう見ることのなかったはずの人がそこには居た。
「"火事を起こして俺らを殺そうとするなんて思いもしなかった、はやくしてくれ"」
兵士が僕を縛りどこかへ連れていく。
止まったかと思えば僕は藁に縛られてはじめた。
下に薪がくべてあって燃えて死ぬんだとわかった。
縛れ終わって、燃えることへの心の準備をしていた時、唐突に痛みが走った。それは手、肘、膝、足の順番で刺さっていった。
それが釘の代わりだと気づいた時、既に知っていたはずなのに初めて自分が望まれていない存在だと理解した。
何故死ぬときにこいつらの笑顔を見ないといけないのだろう。
オ前ガ燃エレバイイ
薪に火がつけられ、熱く痛くなっていく。
『…いやだ、しにたくない。』
怖い、苦しい、痛い
どんなにもがいても抜け出せない？
『あつい、よ……』
冷気が頬をかすった。
火が消え、薪が砕けて粉々になった。
その代わりと言わんばかりにまた誰一人として生きていなかった。親も親戚も変色して本能的に死んでいると悟った。
僕1人とみんな…
命の価値を考えたら僕が死んだら良かったのだろうか。
「"なんでお前生きてんだよ"」
「〜〜!!」
「"なんでここにいるの"」
「ぉ＿＿＿!!」
そう思ったらしにたくなった。
「死ぬな!!」
あれ
「A？……A!!、よかっ、た」
しゃべるサボテンに…しゃべるペンギン
『ゆめ、じゃないの？』
「…もう居なくなるなよ、ほんとに。」
サボテンとペンギンが僕を見る目はなんだろう。
いつも僕に向けられる目でもなければ初対面の時とも違う。
「心配してたんだよ、本当に苦しそうだったから。…もう苦しくないからね。」
2人がくれるものが暖かくて、でもその分怖くなった。
あのまま生きているのも怖いだけれど
いつかまたあんなに蝕まれて死ぬとわかって生きていくのも怖かった。
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