I came to pick you up.【d！】 (ページ2)

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2話ページ2

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何がともあれ、姫の動きが止まったことに俺は心底安心した。

今回攻め入ってきたストラス国は、ミラーノ帝国と比べると軍事力は低い。

帝国とまで呼ばれる我らの国が、負けるということはありえないが、国境まで来ているということは、今すぐ姫も避難させなくてはいけない。

「姫様！我々も避難しましょう！」

それでも、姫は俯いたまま何も答えない。どこかで嫌な予感がした。優しい彼女のことだから、もしかすると…

『……国民の命を優先しましょう』

顔を上げて、強い意志のこもった瞳で俺を見つめる。

『国内ではまだ避難放送が流れていない！きっと殆どの人は、何も知らないままよ。何も知らないまま終われば良いけど、もしもの為に避難指示を出すべきです！このままだと、被害は大きくなる。

私一人の命よりも多くの国民の命を優先します！』

_やはり、彼女は強い人だ。

まだ幼いながらも、国民から絶大な人気を誇るのも納得がいく。

彼女は俺にとって、今まで出会ったどんな人よりもずっと尊敬する人。

彼女が近づくと、ふわっと花の香りが漂い、その柔らかい手のひらが俺の頬を包む。そして、俺の名前を呼び、今まで見た中で一番綺麗な顔で笑った。

『グルッペン…
今まで沢山迷惑かけたわね。今なら、この城の警備も薄くお母様も部屋に篭っているはず。この国から出て、どこか遠くに行きなさい。貴方は今ここで死んでいい人間じゃない。貴方には人を惹きつける力がある。これから先、沢山の人を愛して、愛されて、きっとすぐに貴方の居場所が見つかるでしょうね』

「っ姫様を置いてそんなこと…！」

『ここから、逃げなさい。…これは命令よ』

「A様っ！」

『今までありがとう。でも、最後に一つだけワガママを言ってもいい？』

最後という言葉に、もう一生彼女とは会えないのではと思えてきた。

我が敬愛する彼女のワガママなら、何だってきいてあげられる。

「もちろんです」

『それじゃあ、…いつか私を迎えにきてね』

「_はい。必ずや、お迎えにあがります」

そう言うと悲しそうに笑って、姫はこの部屋を後にした。

俺が姫を名前で呼んだのは、最初で最後だった。
…姫を見たのも、それきりだ。

それからは、姫の命令通り城から抜け出し、馬を使いひたすら遠くへと向かった。

その道中で、さまざまな人と出会い俺は自分の国を作り上げることを決意した。

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