この子に父親はいない 【神谷浩史】

あの人が選んだから。 ページ34

A)ヒロくんおはようー。今ご飯出すね！


ヒロくん)みにゃあ！


A)ちょっと待っててねー！こんくらいかな？


私の名前は羽山A。一応声優をしています。
私の命は、後3年しか生きられないみたいです。家族は娘が1人と子猫が1匹。
一応夫もいます。正式な夫ではないです。以前に付き合っていた関係なだけで、婚姻届も出していません。付き合っていた時期も1年ちょっとだけ。けど今は、一緒に暮らしています。


A)はいどうぞー。(猫に餌をやり)かすみー！早く起きないと学校遅刻するよ？？


かすみ)今起きる… ヒロくんおはようー…。


この子が娘、羽山かすみ。中学一年生。今は教室に行けていなくて別室登校をしている。私の唯一の家族。この子がいないと、私は生きて行けなくなるし、おかしくなってしまう。


A)お父さんは？


かすみ)まだ寝てる…今日仕事昼間からなのかな？


A)昨日夜遅かったからね…ゆっくり寝かせとこ。ほら、ご飯食べちゃって？お母さんパート行くから。


かすみ)はーい。


私は前まで、勘違いをしていた。
それは私の夫が関係していた。


A)え！？神谷さんとは別れてたんですか！？


茉優母)あなたをまだ好きって言われて、私は諦めたの。彼と一緒にいることを。だって、そんなこと言われたら一緒にいても申し訳ないだけでしょ？


A)な、なんかごめんなさい…私のせいで…


茉優母)誰もそんなこと言ってないでしょ??でも、私はあなたのことを尊敬してた。


A)え…？


茉優母)女手1つで娘ちゃんを育ててたんだもの、尊敬しないはずない。私なら絶対無理だったから。凄いと思う。しかも声優？声優って安定してる仕事じゃないでしょ？まあ漫画家も安定しない時はしないけど…


A)それは、私が弱いから…。


茉優母)でも声優だけで生活をやりくりしていた。そんな簡単に出来ないよ。


A)かすみには、色々我慢させてしまってますけど…文句も言わずに一緒にいてくれて…普通なら、嫌だと思うんです。こんな貧相な生活…


茉優母)子どもって正直だからね…茉優は今も、かすみちゃんが許せないって言ってる…そりゃあ父親取られたんだからね…気に入らないのも無理はない… でもあの人はあなた達を選んだ。それだけの事。

不安なんだよ→←最後の望みは…

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