32話(了) ページ33
「で、意識が戻ってすぐに脱走とはどういうことだ」
怒鳴ったのは三忍のひとり、綱手だった。
予想以上に深手だった終夜を助けるために、ふらついていた綱手を探し出して治療してくれたらしい。
怒鳴る綱手の横には、カカシやナルトたちが綱手の怖さに身を引きながら立っている。
『んー、ごめんねぇ。行きたいところがあったのさ』
怒る綱手に終夜がヘラリと笑うと、一層綱手の表情が怖くなった。
「んなことより! オレってばめちゃくちゃ心配したんだからな!!」
ナルトの声に終夜は再び謝る。
自分を心配してくれる人たちを見て終夜は再び幸せそうに笑った。
数時間後、ようやく綱手の説教から解放された終夜は、仕方なくベッドに潜り傷の回復を待っていた。
コンコンと小さくノックをして扉が開かれる。
入ってきたのはカカシだった。
『どうしたのー?』
終夜の問いに答えずに近づいてきたカカシは、慣れた手つきで口元の布を下ろす。露わになった顔は終夜に負けず劣らず整っている。
近づいてきたカカシは優しく終夜の髪を撫でると、屈んで唇に口づけを落とす。
「はやく治しなさいね」
離れた後、終夜の唇に人差し指を置くと、にっこりと笑い言葉を続ける。
「治ったら続きをするとしようか、ねぇ」
問いかけるように終夜を見るカカシに、終夜は片腕で顔を隠し小さく呟くことしかできなかった。
その言葉を聞いてカカシは病室を出る。
カカシの脳内には先ほどの終夜の声が、理性を崩すように響いていた。
色白の肌が薄く赤色に染まり、微かに動く赤い唇。紡いだ言葉は震えていた。
「うん……」
たったそれだけの言葉に、振り回される。
一方終夜は、顔を隠していた腕を少しだけよかし窓から空を見ていた。
眩しいくらいの晴天に目を細めながら、恥ずかしそうに、それでいて幸せそうに笑っている。
光を遮っていた雲はゆっくりと移動し、影を揺らす。
見上げた空は青く澄み渡っていた。
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くろ(プロフ) - 一応、題名だけ載せさせていただきます!「【NARUTO】【男主】軽薄な忍─続─」です。18歳以上でしたら、見てくださると嬉しいです! (2017年6月4日 16時) (レス) id: 9ac8b3a805 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - なぁゆさん» 初めまして! コメントありがとうございます! この小説の続きはあるのですが、内容的にフラグがたっていますので、自力で探していただく形になっております。申し訳ありません。 (2017年6月4日 16時) (レス) id: 9ac8b3a805 (このIDを非表示/違反報告)
なぁゆ - 初めまして!とても面白い小説でした!!楽しく読ませてもらいました^^* 続きとかないんですかね?主人公とカカシのその後の展開がみたいです。 (2017年6月4日 14時) (レス) id: 02b0c2b0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くろ | 作成日時:2017年5月20日 21時