好みじゃないんでお引き取りください

姉…… ページ29

『蒼也くん！』

｢A…無事…だな。良かった｣


1時間後、息を切らした蒼也くんが避難所に姿を現した。

避難所にはまだチラホラと人がいるが、随分と少なくなった。



｢民間人の死者は０だ｣

『…ボーダーは？』


そう聞くと、蒼也くんはギュッと眉根を寄せ、目を伏せて答えた

｢…通信室のオペレーターが6人死亡。重傷者4人。……C級が32人行方不明だ｣



犠牲が大きい……

返す言葉も見つからず、2人で顔を俯く。




｢ずみ"はる"〜…無事だったか〜？｣

｢姉さん泣きすぎ｣

｢ウンウン。いつにも増してブスだよ？｣

｢ぶっ殺すぞ？｣




聞き覚えのある名前と声に顔を上げれば、すぐ近くに、犬飼がいた。


(お姉さん…なのかな？2人とも犬飼に似てる…)


＿＿大規模侵攻で友達が亡くなったらしいから…


過保護になるのも仕方ないだろう。




｢あ、風間さん。……と、え？葉月ちゃん？｣


犬飼がこちらの視線に気づいたのか、驚いた顔でこちらを見る。

｢犬飼か。Aがどうかしたのか？｣

｢澄晴、誰？後輩？彼女？｣

｢違う！！後輩じゃなくて先輩だし！！彼女でもない！！｣


こうして見ると凄い似てる……

コミュ力高そうなところとか…


｢こんにちは〜澄晴の姉の晴花(はるか)でーす。23でーす｣

｢同じく姉の澄恋(すみれ)でーす。20歳でーす｣

｢風間蒼也だ。歳は21だ｣

『葉月Aです。犬飼くんとは同じクラスです』



晴花の“晴”と澄恋の“澄”を合わせて“澄晴”か……

なんか、納得

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