指輪 ページ48
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『…殺さないわ……悟くんが帰ってきた時…
親友と同じ道を彼女が辿ったなんて知ったら悲しむでしょ?』
脳内に響く祀翠の言葉にそう返した。
『…』
足元で上層部の連中のうめき声が聞こえる。
処置さえされれば治る。その程度の傷だ
命に別状はない。
『…』
返り血で汚れたワイシャツ。
気づけば足は悟くんとの家へと向かっていた
________
と、笑顔で言った彼を思い出す。
高級な高層マンションを目の前にして唖然とした自分が懐かしい
『…』
良かった。呪霊の被害は無さそう…
でも時期にここも呪霊の手によって破壊される。
『…ただいま……』
ゆっくり玄関を開け、小さく呟いた。
勿論…悟くんがいる訳でもないし ''おかえり''なんて聞こえない
『ッ…』
改めて彼がいないという実感で胸が押し潰されそうになる。
上層部にあんな仕打ちをしたとして私の気持ちが収まるわけもなく、ただひたすらに…これからの事を考えると怖くてたまらない。
悟くんを助ける行為すら罪となり、夜蛾先生と悠仁くんは処刑。
その執行人は憂太くん…
『……嫌になっちゃう…』
涙腺が熱くなるが、抑えた。
泣いちゃダメ。もう泣かない、弱音も吐かない。
そう決めたでしょ?
『…』
おぼつかない足取りで寝室へと行き、
新しいワイシャツへと袖を通す。
ふいに…視線はクローゼットへといった。
……クローゼットの中には悟くんの普段着ている上着がある
『…』
無意識のうちに手は伸ばされ上着を抱き締めた。
縋るように。
柔軟剤の匂い…
不思議…ついさっきまで悟くんに抱き締められてたのに…
今はそれすら叶わない。
……もっと甘えておけばよかったなぁ、
そんなことを思いながら上着を抱き締めていた
しかし、腹部に感じる違和感。
『…』
ポケットに何か入ってるようで、それを取りだした。
『……箱…』
手のひらに収まる程度の…小さな箱。
特に考えもなしに開いた。
そこには……
『……っ』
カーテンの隙間から差し込む月明かりに照らされるのは指輪。
……馬鹿な私でもわかる、婚約指輪だろう
『ッ、ぅ…』
抑えられなくなった涙はボロボロと頬を伝う。
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さら(プロフ) - コメント失礼します。1話、1話すごく面白くて、原作とオリジナル要素が上手く合わさってて一気に読んでしまいました!次のお話もすごく楽しみです!応援しています! (8月26日 2時) (レス) @page50 id: 6702fb6123 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - コメント失礼します。お話が凄く面白かったり感動する場面があり一気に読んでしまいました…更新応援してます! (8月15日 0時) (レス) @page50 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します。すごく面白くて,一気に読んでしまいました💦この時期,体調に気をつけてください!更新も頑張ってください(^^) (2023年3月18日 21時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - 内容が凄く面白く一気に読んでしまいました( ´ࠔ`* )続き楽しみに待っています«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク (2023年1月15日 22時) (レス) @page50 id: 8aa45553d4 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ - 毎日の更新、私は凄く楽しく読ませて頂いてますよ!!逆に「なんでそんなに面白いお話が書けるのかな?」と尊敬しています(*^^*)出来れば、更新頑張って欲しいです🙏 (2022年12月27日 7時) (レス) @page25 id: bff9bd16c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒姫ユキナ | 作成日時:2022年12月21日 15時