。終止符を打って32日目 。 ページ32
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その鍵を見て、あることを思い出した。
『A、これを大事に持ってるのよ。
お母さんみたいに利用されたくないから…
呪術の家系で術式が使えないことはあまりよく思われないと思うわ…
それでも、耐えて、耐えるのよ、
Aの術式をこの鍵の中に閉じ込めるわ』
私の首にかけられたのは小さな鍵のペンダント。
お母さんがナイフと共に持っていた物とはまた違うものだ。
思い出した記憶が具現化したように、映し出された光景。
櫻田家に行く前…そう言われたんだ。
当時の私は理解してなくて…
ペンダントに私の術式を閉じ込めたのだろう
望未さんが…あの時壊したから……
術式を使えるようになったと思う
「……」
でも、ねえ、どうして……??
どうして…どうして私の存在だけ…
お母さんの存在だって消して、一緒に逃げれば___
「っ……」
その時、全て。全部分かったのだ。
お母さんの言ってた事を思い出した。
'' 存在を消せるのは1人だけ ''
お母さんは……きっと…
2人で助かる方法なんてないって分かってたんだ
私の存在をアイツらの頭から消そうが、悪事を全部知っている
お母さんを死の果てまで追い続けるだろう。
逆に、お母さんの存在を消しても…その術式を引き継いだ私を…死の果てまで探すだろう。どんな手を使っても。
1番……私が安全に…上層部と関わることなく助かる方法…
それがこれだったんだ
「っ……」
私は今回、皆の記憶から私の '' 存在 '' を閉じ込めた。
お母さんが私の存在する記憶を上層部から閉じ込めたように。
しかし、その行く末は真っ暗な空間に1人。
でも……もし、お母さんと同じことが出来たなら…
あんな真っ暗な空間にいることなく、現実世界に行けたのかな?
なんて、思った。
「………」
いや、現実世界に帰れたとして…
私の存在なんて、ない。みんな覚えてない。
いくらみんなの幸せを願ってるとしても…
……きっと…私はそれが辛くなる。
周りの空間が真っ白から真っ黒へと変わった。
「……」
私は……ずっとこのままでいいんだ。
このまま、ここで……
「っ……」
左手を掴む力が強くなった。
……そういえば…
どうして急に…お母さんの記憶が見れたのだろう。
最後…お母さんが握っていた鍵に…自分の記憶全てを閉じ込めたのか。
鍵を壊す人なんていないはずなのに、どうして記憶を見れたの?
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saachan(プロフ) - 最高でした。物語の内容から秘密が解ける所も考えられていて、感動でした! (9月25日 6時) (レス) id: 19e4ed7fb5 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - あ“あ”アアアアアアア“ しにやしたわ (8月21日 15時) (レス) @page50 id: 00641871ce (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ラテ - あ”ー涙が止まらない”ぃーーーーー (6月1日 21時) (レス) @page50 id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
由衣(プロフ) - 天才だと思います。考え抜かれたストーリー、緻密な伏線、原作に忠実な登場人物の仕草や口調、そのどれもが高密度で滑らかに仕上がっていて素晴らしい物語だと思いました。一生忘れたくない物語に出会えたこと感謝します。 (2023年1月10日 22時) (レス) @page50 id: e683fae7d7 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - 読む手が止まらなくて気づいたら朝になってました…!すごく良かったです! (2023年1月9日 5時) (レス) id: 3fb130f810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒姫ユキナ | 作成日時:2022年10月28日 17時