。終止符を打って31日目 。 ページ31
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『私の術式は…使えば使うほど効果が無くなるわ…
時を超えることも出来なくなるし。
上層部も私を使う気にもなれないと思うの。
そうなったら、3人で何処か遠くで暮らしましょ?』
『僕、海の見える所に住みたい。』
『いいわね!蒼司って泳げるの?』
『泳げないよ』
『え?』
その後も記憶が移り変わってった。
お母さんの記憶… まるでお母さんの人生を見ているようだった。
私が生まれて…お母さんもお父さんも幸せそうで…
なんだか気持ちが浮かれた。
しかし
あの後お父さんは殺された。実の父親に殺されたのだ。
怒り狂ったお母さんが上層部の本部らしきところへ乗り込んだが
『いいのか?コイツがどうなっても』
『A……!!!』
上層部の2人が私を人質にしたのだ。
『コイツもお前の娘だ。術式を持ってるだろう?
助けたかったら、今まで通り私たちに手を貸せ。』
お母さんはそれを受け入れた。
そして時を超えて、上層部の悪事や失敗を揉み消し続けたのだ
そんなある日
『時を超えることも出来なくなってきたな。
我々の悪事を知られている。
……そろそろ始末しよう。』
主にお母さんを苦しめていたのは上層部のうちの2人だった。
始末……ということは、そういうことなんだろう
雨の日。
お母さんは私を櫻田家へと預け、
その帰りに上層部の2人が現れた。
『五条家まで使わなくたって、大丈夫ですよ』
「!!!」
母の言葉を聞いて視線を向ければ、上層部の2人の他にもう1人。
男の人がいた。
「あれが……五条家の…」
お母さんを殺したひと……
どことなく、五条さんの面影があるその人。
これからこの人がお母さんを殺すと考えると心臓が締め付けられた。
見たくない、こんなの、見たくない。
出口を探したくても、扉は無い。
思わず目を両手で抑えた。
『______蒼司』
優しい、声音。視界を遮っていた手をどけると
『____今逝くからね』
「……」
そういい、笑ってお母さんは自分の心臓にナイフを刺した。
……その表情は…まるで、死を望んでいたように。
お父さんに会いたかったのか。
それとも、もう疲れてしまったのか。
お母さんにしか分からない。
『……大丈夫よA…アイツらの持ってる…
貴方の存在してる記憶は全部、全部…閉じ込めるからね……』
ナイフと共に握られていた鍵。
「……」
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saachan(プロフ) - 最高でした。物語の内容から秘密が解ける所も考えられていて、感動でした! (9月25日 6時) (レス) id: 19e4ed7fb5 (このIDを非表示/違反報告)
Kさん - あ“あ”アアアアアアア“ しにやしたわ (8月21日 15時) (レス) @page50 id: 00641871ce (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ラテ - あ”ー涙が止まらない”ぃーーーーー (6月1日 21時) (レス) @page50 id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
由衣(プロフ) - 天才だと思います。考え抜かれたストーリー、緻密な伏線、原作に忠実な登場人物の仕草や口調、そのどれもが高密度で滑らかに仕上がっていて素晴らしい物語だと思いました。一生忘れたくない物語に出会えたこと感謝します。 (2023年1月10日 22時) (レス) @page50 id: e683fae7d7 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - 読む手が止まらなくて気づいたら朝になってました…!すごく良かったです! (2023年1月9日 5時) (レス) id: 3fb130f810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒姫ユキナ | 作成日時:2022年10月28日 17時