目覚めなくなった56日目. ページ9
音もない静かな場所に、
涙ぐむ声がより目立って聞こえた。
「……」
頭が整理できない。
…いや、したくないんだ
理解してしまったら、もう、戻れない気がして…
「っ……」
でも、それでも…っ
現実見ないでいるだなんて、
そんなの…Aが報われないじゃないか
あんな、1人で抱え込んで
そんなことも知らずに僕達は何をやっていたんだ
、
ほんとは何かがあるって気づいてたろ？
Aの夢の中に入る度に
無理して笑うAの異変に。
なのに…
…なのに……
、
「聞いてやれなかった…っ」
自分から、言えるような性格じゃないって、
分かってたのに、
誰かが分かってあげるべきだったのに
、
「情けないッ…」
目からは悔しさのあまり溢れる涙。
地面にシミを作っていくのをただただ、
ぼやける視界で見ていた。
、
そんな時だ
、
、
、
、
、
、
、
「…おれ、俺ッ
Aの夢の中に行ってくる…っ」
そういうと、病院の方に駆け出そうとする上鳴くん
、
明らかに表情が良くない
しかし
駆け出そうとした上鳴くん手を
((パシッ
掴み、駆け出す上鳴くんを止めた。
、
、
「…轟…
なんで、止めんだよッ！！！」
上鳴くんの手を掴んでいるのは轟くんだ
、
そして
、
「今いったところで…
お前、同じことしか言えねえだろうが
"悪かった"…それだけ言われて…
あいつが納得すると思うか？」
「っ……」
見透かされたようなその言葉に、
上鳴くんの顔が歪んだ。
「…落ち着けって…
ちゃんと理解して、自分が何をしたか、
よく考えてからAのところに行けよ」
「一旦全員家に帰れや」
かっちゃんさえもそういった。
、
「っ…悪かった」
轟くんの言う通りだ
今いって、謝ればAは許してくれる？
そんなに甘くない。
自分がAに何をしたのかさえ、
理解できてないのだから
そんな、半端な気持ちで…
行っちゃダメだよね、
＿＿＿＿＿＿＿＿
＿
「荼毘、なぜボイスレコーダーを？」
、
「みたか？アイツらの顔。
…あれが見たかったんだよ｣
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作者名：黒姫ユキナ
| 作成日時：2018年7月14日 11時
