目覚めれなくなった74日目. ページ28
、
Aが夢から覚めれないと気づいた時。
、
裏路地で月を眺める男が1人。
、
そんな彼は猫と戯れながら＿＿＿
「言っただろ…後悔するなって…」
そう、呟いた。
その表情はこれからが楽しくなるような、
そんな、悪戯心で溢れている。
＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿
緑谷side
＿＿
、
「戻れねえってどういうことだよ！！」
Aの病室に上鳴くんの声が響いた。
「落ち着いてください上鳴さん！」
八百万さんがなだめようとしても
上鳴くんの感情は高ぶったままだ
、
「……」
それもそうだろう
せっかくAが目覚めると思ったのに
彼女は目覚めなかった。
……ううん、ちがう
…目覚めれないのだから。
「おいデク。詳しくもう1回話せや」
かっちゃんにそう言われ、
、
鮮明に昨日のことを思い出す。
「…上鳴くんと切島くんが倒れたこと。
夢に入りすぎてみんな無理をしていること。
轟くんが意識不明なこと…
それらを話したら、
夢から覚めるってAが言って…
僕はずっとここで待ってたけど一向に目覚めることはなく、もう一度Aの夢の中に入ってみたら
、
、
……戻れないって…Aがそう、言ったんだ」
脳裏に思い出されるのは、
手が震えていて、焦っているAの表情。
、
、
、
「あいつに戻る意思はあったんだな」
「それは間違いなくあったよ、かっちゃん」
僕がそう言えば、やはり
みんなの顔は晴れることなく曇ったまま。
…だって、事態は深刻なのだから。
「もう現実世界に…戻ってこれないの…？」
……夢から目覚めれなくなっただなんて
もう…どうしようもないんだ…
みんながみんな、苦しそうだ。
＿＿＿＿＿＿＿でも
、
、
、
「俺らが…原因で夢に閉じこもったのに…
出られなくさせちまって…」
誰よりも、上鳴くんの表情は苦しそうだ。
人一倍、罪悪感を感じている上鳴くん。
そのせいで…
何回も夢に入って…倒れてるんだ
今だって、顔色がよくない
無理してるに違いないんだ
、
「轟くんの調子は…」
そう僕が聞けば
「…変わらないままだよ、」
麗日さんが答えてくれた。
「そっか……」
轟くんもいない
Aもいない
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作者名：黒姫ユキナ
| 作成日時：2018年7月14日 11時
